1月のお薦め芝居(2005年)



1月のお薦め芝居


1月のお薦め芝居

by中西理



 




 下北沢通信サイトもプロバイダーの都合で消滅してしまい現在、リニューアルを含めて移転を検討中。観劇の記録などは。大阪日記の方で継続中なのでそちらを覗いてみてほしい。恒例の演劇・ダンスの2004年のベストアクトを掲載する予定なので、そちらもぜひ読んでみてほしい。




 今月のイチオシは毎月ダンスから入るのも嫌なので東西の演劇から再演舞台を1本づつ。東は桃唄309プロデュース「超特急アガルタ」★★★★(1月26日〜30日高円寺明石スタジオ)。美術の門外漢のあなたでもマリリン・モンローをコラージュした作品で話題をふりまき、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドをプロデュースするなど60年代のカリスマとして君臨した米国のポップアートの旗手アンディ・ウォーホルのことは名前ぐらいは耳にしたことがあるだろう。「超特急アガルタ」はこのウォーホルと彼のアトリエ兼事務所「ファクトリー」をモデルに60年代ニューヨークに酷似した架空の都市「アガルタ」の夜に巣喰いセックス・ドラッグ&パーティーに明け暮れる自称「芸術家」たちのひたすら明るい栄光と破滅を描き出し「才能とはなにか」を考えさせる2001年初演の橋本健作品の再演。桃唄309は劇作家・演出家、長谷基弘の率いる集団だが、ここの看板男優でもある橋本健もこれまで2人目の作家として劇作・演出を手掛けてきた。初演では橋本自らは作演出に専念して出演はしていなかったが、今回の再演では中村ノゾム(劇団 離風霊船)を演出に招き、自らも俳優として出演。もはや「再演」ではないのキャッチフレーズどおりに初演と比べて一層グレードアップした舞台が期待できそうだ。




 一方、いまや関西を代表する笑いの演劇の旗手となりつつあるスクエア「ラブコメ」★★★★にも注目。こちらはちょっといけてない劇団「とびっきりドリーマ」とそこに集う「トホホ」な人たちを描いたバックステージものの群像劇。しかも「ラブコメ」の題名通りにそこでの恋愛模様を描いたコメディ。それだけならよくある設定だと思うであろうが、スクエアの舞台がそれだけですむわけがない。
 ここでは小劇場にありがちな自分たちだけがカッコいいと勘違いしている勘違い劇団を俎上にあげているのだが、その作りこみの細かさが、並大抵ではないのである。劇団が登場するバックステージもので、劇中劇としてその劇団が上演している芝居の一部を上演してみせる例はよくあるが、この「ラブコメ」でスクエアはまるきり1本の芝居を入れ子の劇中劇として上演してみせる。それは普段のスクエアの芝居とは全然違うテイストのものだが、こういう劇団だったらありがちかもと思う「映像・演技・美術・脚本」をすべて精密に再現。しかも、演出と作家の恋のもつれでその芝居はしだいに出鱈目な方向に(笑い)。
 悪意のある笑いを特徴とする大阪のコメディ劇団の代表作を再演。今度は初演キャストに加えて、元遊気舎の爆笑女王、楠見薫が客演。キャストに加わりパワーアップ。絶対面白いはずなんで、東京の人もぜひ見てほしい。




 クロムモリブデン「ボウリング犬エクレアアイスコーヒー」★★★★の大阪公演にも注目。「トランス・ナンセンス・バイオレンス」をテーマにノイジーな音響や照明、美術、映像を駆使し関西において、孤高の存在的活動を続ける演劇パフォーマンス集団というのが一応売り文句なんだが、この劇団だけは「とにかく一度見て、損はしないから」としか説明のしようがないのがつらいところ。もちろん、おかしくて笑えるのだけれどそれだけじゃないし、笑いのセンスも人を選ぶところがあり、だれにも薦められるわけではない。
 今回の粗筋はチラシによれば「コロンバイン高校で銃乱射を起こしたトレンチコートマフィアと名乗る少年たちの犯行はやはりボウリングに影響されてのものだった! 世界中でボウリングが禁止! 犬のものに」「一方、集団自殺に集まった面々はとりあえず呑みにいくことにする。」「マイケル・ムーアはアホマヌケ呼ばわりされ、ブッシュは再選。イラク大量破壊兵器も見つかる。人々は不安から解放され、寂しさは消え、笑いのたえない毎日が。終わったジャンルのマジックがブームになり、終わったはずの紅白歌合戦が高視聴率を上げ、死んだプロ野球が復活する。」「こうして21世紀は20世紀と何ら変わることがなかった。」「一方、集団自殺に集まった面々はとりあえずカラオケに行くことにする」……。
 実際に東京公演で見てみたが、内容はだいたいこうだったような。違ったような。覚えていない(笑い)。でも、面白かったような気がするのがクロムの不思議なところだ。




 遊園地再生事業団ニブロール「トーキョー/不在/ハムレット」★★★★ニブロール矢内原美邦を振付に招き、宮沢章夫がどんな世界を見せてくれるのかが楽しみだ。活動休止期間をへて、前回の「トーキョー・ボディ」では映像やパフォーマンス的な要素を取り入れるなど、方向性を一変した新生遊園地再生事業団だが、今回の公演ではリーディングやワークインプログレスなど準備段階で時間をかけてきただけに完成度の高い舞台が期待できるはず。




 ダンスでは勅使川原三郎「KAZAHANA」★★★★新国立劇場)がイチオシ。昨年、パリ・オペラ座の委嘱をうけて「AIR」を振り付けて以降も国際舞台で活躍を続けている勅使川原だが、この作品は、フランスのリール・オペラ座で初演されたものを新国立劇場で上演するにあたり改訂し改訂初演版とした。
 勅使川原が構成・演出・振付・美術・照明・衣裳を手掛け、宮田佳が演出助手と選曲を担当。
 KAZAHANA(風花)とは、「晴天に風と共にちらちら降る雪」の意味であり、「なにか常ならざる事、至上の瞬間を感じさせる言葉であり、イメージである」と勅使川原。このイメージに触発されてどんな作品を作り上げたのか。日本での新作上演はひさしぶりとなるだけにこれは見逃せない。
 今年来日するマシュー・ボーンの「白鳥の湖」公演でザ・スワン/ザ・ストレンジャーを踊る、英国ロイヤル・バレエ出身のホセ・ティラードが出演するのも話題である。




 ダンスでは砂連尾理+寺田みさこ「love me,not love me」★★★★(1月15、16日、伊丹アイホール)にも注目したい。京都でのワーク・イン・プログラム公演では「まだまだこれから」という印象であったが、これまでのパターンから言えば本番には間に合うようにきっちりと仕上げてくるはず。砂連尾理と寺田みさこの2人がかもしだすなんともいえないとぼけた味わいはダンス界の「夫婦漫才」と呼びたくなるほどだ。2人ならではの絶妙のコンビネーションである。これは伊丹の後に東京シアタートラムでの公演も予定されているので東京の人もぜひ見てほしい。




 コンテンポラリーダンスってこのページでもよく取り上げられているけれどどんな風なのという人にお奨めしたいのが横浜ソロ×デュオ★★★★横浜赤レンガ倉庫)。毎年この時期に行われている恒例のダンスコンペだが、今年はこれまでのソロ×デュオ部門に加えて、グループ部門も加わり、4日間(1月27―30日)にわたって行われる。今年の個人的な注目は大橋可也、東野祥子(BABY−Q)(=昨年のトヨタコレオグラフィーアワード受賞者)、三好絵美(yummy dance)、濱谷由美子(クルスタシア)(=4回目の最多ノミネート)。関連企画として同じ会場で一週間前に上演される森下真樹+康本雅子★★★★の公演にも期待したい。




 ダンスでは静謐ななかにすきのない完成度の高い舞台を作り上げることでは定評のあるアンサンブル・ゾネ「Neber Land −霧−」★★★ 、会場の空間を生かした伊藤キム+輝く未来「壁の花、旅に出る」★★★にも注目したい。



 
 毎回書いているけど反応がほとんどなくてむなしい(笑い)。演劇・ダンスについて書いてほしいという媒体(雑誌、ネットマガジンなど)があればぜひ引き受けたいと思っています(特にダンスについては媒体が少ないので機会があればぜひと思っています)。依頼の内容しだいでは無料でもお引き受けしています。私あてに依頼メール(BXL02200@nifty.ne.jp)お願いします。サイトに書いたレビューなどを情報宣伝につかいたいという劇団、カンパニーがあればそれも大歓迎ですから、メール下さい。パンフの文章の依頼などもスケジュールが合えば引き受けています。







中西