DANCE CIRCUS(その1)

 「Sister」がよかった。表題は姉妹のことかと思うとそうではなくて、尼僧のシスターなのだが、尼僧姿で登場したyumがしだいにあられもない姿を晒していくという少しきわどい作品。ダンスの動きのなかに性的な隠喩を明らかに匂わせるものがあったり、解釈しだいでは涜神的とも思われる要素もあるが、それが下世話にならずに見せられるのはyumに凛としていて気品を感じる端整な個性があったからこそ。あらためてダンサーとしての資質の高さに感心するとともに、この人は作品の作り手というよりはダンサーとして輝く人なんだなというのを再認識させられた。
 Joe Smallの「Upbeat, Downtime.」は通常のコンテンポラリーダンスとはアプローチの異なる作品で新鮮さを感じた。和太鼓とコンテンポラリーダンスの要素を組み合わせて融合させようと試みたもの。和太鼓の演奏はそれ自体、楽器演奏というだけでなく、パフォーマティブな要素を持つ。それゆえ、発想としては面白いと思うし、打楽器の生演奏の楽しさが見ていて味わえた。ただ、意図した「和太鼓とコンテンポラリーダンスの融合」にはなりきってない印象。
 林正美「Unconscious」はダンサーの資質の高さを感じさせ、完成度も高い。それだけに逆に「なぜこういうのを作るんだろう」という疑問も感じた。こういう風に作るとコンテンポラリーダンスになりますという典型みたいになっていて、そこからはみ出てくるようなところがないので優等生的に感じてしまうのだ。
 sonno「sole di mezzanotte」にも同じような不満を感じた。sonnoはダンサーのTENと美術家の山口智美の2人によるユニットで、今回は山口は舞台美術を手掛け、出演はせずにTENのソロダンス公演となっている。TENがいいダンサーだというのは分かるし、完成度も低くはないのだが、「ここしかない」という種類の強い個性が残念ながら感じられない。この作品もはみ出しのなさを不満に思った。
 坂田可織「ヒア」はその身体性の持つ個性に好感を受けた。自分の作品を発表したのはこれが初めて。実質的なデビュー作だった。12分程度の作品とはいえ、音楽はいっさい使わず、身体ひとつで見せていくという今回の作品は実は相当の難易度で、作品としては少し工夫が必要だと思うが、大きな破綻を見せずに踊りきったのには感心させられた。不器用だけれども素朴で真摯にダンスと向き合っていることのよさがこの作品には出ていたと思う。