チェルフィッチュ「フリータイム」

「フリータイム」は、「三月の5日間」などこれまでの作品では相当に複雑だった戯曲の構造がものすごくシンプルになっている。朝、会社に行く前にファミレスに寄って1杯のコーヒーを飲みながら30分だけ自由な時間(フリータイム)をすごしている女性がいる。その時間は彼女にとってささいなことだけれどもかけがえのない時間なんだよ。それが複数の演者によって繰り返し語られる。こんな風に要約してしまうともともこもないというか「なによ、それ」って感じなのだが、こういう言葉では伝わりにくい「そこはかとない空気感のようなもの」を観客と共有できるかどうかというのがチェルフィッチュの方法論の核心なのではないかと思われてきた。