4月のお薦め芝居(2005年)



4月のお薦め芝居


4月のお薦め芝居

by中西理



 




 引越し先(最寄りの駅は地下鉄の谷町九丁目)の生活にもどうにかこうにか慣れてきたものの風邪の後、咳が止まらず困っています。大阪日記も相変わらず更新が滞りぎみだが、この風邪いつになったら治るのだろう(というかそもそも本当に風邪?)。サイトの方は今度こそ更新していきたいと思っているので見捨てないでほしい。




 今月のいちおしはなんといっても珍しいキノコ舞踊団国立民族学博物館みんぱく)にやってくること。国立民族学博物館の特別展「きのうよりワクワクしてきた」の一貫として行われるものだが、5月3日には珍しいキノコ舞踊団トーク&ライブ「LIFE ON DANCE? DANCE ON MARS?」」★★★★が行われるほか、4日、5日も特別展示場でのパフォーマンスがある。パフォーマンスはいずれも無料なので、この機会にぜひうわさの珍しいキノコ舞踊団ってどんななのと思っている人はみんぱくに出掛けてほしい。
 




 今月の東京はいま注目の劇団の公演が激突。個人的に今もっとも注目している集団がチェルフィッチュポツドール。そのポツドールが「今年は本公演としてはこれ1本」というのだから、ポツドール「愛の渦」★★★★は見逃すわけにはいけないだろう。
僕は「性欲」に駆り立てられている時の人間がとても好きです。
「やりたい」という気持ち以外何もなく、
「精神的」につながろうという思いが微塵もない、
そんな人にことさら心を引かれてしまいます。
そして、そういう人達しかこの物語には登場しません。
彼らはとても下品でとてもいやらしく、本当にどーしょうもない人間です。
でも、僕はその潔さが、とても愛おしく、とても悲しく、泣けてきてしまうのです。
今回の作品、とてもスケベです。でも泣けます。どうぞ。よろしく。






 シベリア少女鉄道笑顔の行方」★★★★




 海外からの来日公演もローザス「ビッチェズ・ブリュー/タコマ・ナロウズ」★★★★マリー・シュイナール「ショパンによる二十四の前奏曲」★★★★と注目の舞台が目白押し。ローザスはいまさらいうまでもないの感ありだが、特にマリー・シュイナールは「とにかく馬鹿馬鹿しいオバカ系」らしく、前回の来日公演ではノーマークで見逃して悔しい思いをしたので、今回はぜひとも見てみたいと思っている。





 弘前劇場「F.+2」★★★★にも注目。弘前劇場長谷川孝治の作品には現代口語の地域語(弘前方言)を駆使した群像会話劇の本公演と少人数の出演者による暴力的な関係性を描いたFRAGMENTシリーズの大きく分けて2つの系列の作品群があるのだが、この公演では後者を代表する作品である「F.+2」を若いキャストを起用して再演する。




 青年団「御前会議」★★★★はひさびさの平田オリザの新作。「忠臣蔵OL編」「ヤルタ会談」と続いた会議シリーズの第3弾ということになる。
歴史上の出来事を新しい意匠を持って現代に甦らせるこのシリーズで平田が取り上げるのは
日本の降伏が決まった御前会議。この主題を平田は今回はどんな趣向で会話劇に仕立てあげるのか。重い題材を軽やかに料理してみせる平田シェフの才人ぶりが楽しみだ。




 関西で注目したいのはくじら企画「サヨナフ ピストル連続射殺魔 ノリオの青春」★★★★。1969年、まさに昭和の高度経済成長期のただなかで起きた19歳の少年によるピストル連続射殺事件。犯人、永山則夫が獄中で著した自伝小説「無知の涙」を手掛かりに、資本主義社会から取り残されていったひとりの少年の姿を浮き彫りにした大竹野正典の代表作を殺人事件が簡単に繰りかえされる昨今の状況を踏まえながら、再び上演する。初演では少年ノリオを演じた川田陽子の演技が忘れがたい印象を残したが、キャストを入れ替えての今回の再演バージョンではどんな芝居を見せてくれるのだろうか。




 しりあがり寿原作・天野天街脚本・演出のKUDAN PROJECT真夜中の弥次さん喜多さん」★★★★の名古屋公演にも注目したい。同じ原作をクドカンが監督した映画もほぼ同時期に封切りになるはずなので、ぜひ見比べてみたい。関西の公演があったばかりだが、私は公演が重なって見ることが出来なかったのでなんとかこちらで見るつもり。




 遊気舎の俳優でもある演出家谷省吾が率いるいるかHotel「RISTRANTE OGGI DOMANI」★★★★KAVC)も楽しみな舞台。前回の本公演を見逃したので個人的にもひさびさの印象。以前、女優の宝庫と書いた時代とはキャストがかなり入れ替わっているのがちょっと気になるが、若い俳優をうまく使うことには定評のある谷だけに今回はどんな隠し玉を用意しているのか。期待して待ちたい。




 大阪では建築コンペによって作られた仮設劇場<WA>を会場としての「大阪現代演劇祭」もスタート。まず、注目したいのはWI'RE「スカリトロ」★★★。サカイヒロトは円形劇場であるこの特異な空間でどのような舞台を見せてくれるのか。ゲストに東野祥子(BABY-Q)、クシミヒデオ(赤犬)、久保亜紀子らが参加するのも楽しみ。




 即興の要素を加味して、すべてをそぎ落としたような本公演とは少し方向性の違うダンスを見せてくれそうなのがアンサンブル・ゾネ「『見る』ものとしてのダンス」★★★★である。前回公演で著しい成長を感じさせた伊東愛をはじめ、ダンサーが普段とは違ったどんな魅力を見せてくれるのかにも期待したい。




 ダンスでは黒田育世率いるBATIKのメンバーがそれぞれソロ作品を披露するBATIKトライアル★★★★(森下スタジオ)も注目。一昨年のトヨタコリオグラフィーアワードにノミネートされたボヴェ太郎によるボヴェ太郎ダンスシリーズ★★★(京都芸術センター)も気になるところだ。



 私は「踊りに行くぜ!!」で東京なので見られそうにないのが癪の種だが、関西のダンスファンはもちろんコンテンポラリーダンスってなにと思っている人にぜひともお薦めなのがコンテンポラリーダンスin新世界★★★★(3月19日)。公演はスパワールドの大階段近くで行われる野外の無料公演だが、一昨年は大雨、昨年は大雪。特に昨年はあの身体表現サークルが雪が舞い散るなかをあのフンドシ一丁の姿で踊り、
感動の嵐(?)を呼ぶ伝説的な公演となった。今年も北村成美率いるしげメイツが参加、カラオケに乗って踊りまくる「カラオケダンス天国」など期待の演目がずらり。暇なひとはぜひ新世界に出掛けてみよう。



 
 演劇・ダンスについて書いてほしいという媒体(雑誌、ネットマガジンなど)があればぜひ引き受けたいと思っています(特にダンスについては媒体が少ないので機会があればぜひと思っています)。特にチェルフィッチュについてはどこかにまとまった形で書いておきたいと思っているのだけれど、どこか書かせてくれるという媒体はないだろうか。
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中西