9月のお薦め芝居(2005年)



9月のお薦め芝居


9月のお薦め芝居

by中西理



 




 先月は夏休みをとって恒例のエジンバラ演劇祭ツアー。今回は舞台だけでなく、エジンバラのギャラリー巡りもしてきてなかなか充実の日々であった。昨年は体調を崩したりして、レポートも書かずじまいだったが、今度こそ大阪日記エジンバラ・レポートを掲載するつもりなので、ぜひ覗いてみてほしい。




 今月のイチオシはまずダムタイプの照明家である藤本隆行と京都のダンスカンパニー「モノクロームサーカス」とのコラボレーション作品であるモノクロームサーカス+藤本隆行「Refined Colour」★★★★である。「Refined Colors」は、R(ed)、 G(reen)、 B(lue)の発光ダイオードで、約1670万色のカラーバリエーションを作りだす新しい照明器具「LED(発光ダイオード)ライト」を駆使した作品。低電力で働き、重装備の不要なLEDの特性を生かしつつ、音響や照明の操作も全てノートブックPCで行うことで機動性に優れたツアー・チームを編成し、04年の制作公演と最初のアジアツアー皮切りに、世界の都市を巡演。コンピューターに代表されるデジタル技術を駆使することで、行く先々の音や光景をサンプリングし舞台表現に取り込み、常にそれらの光景を繋ぐ「旅」を基軸にした作品更新を繰り返していく。
 山口で上演された初演は見ているのだが、その後の旅公演をへて京都ではどのように進化した形を見せてくれるのだろうか。楽しみである。学生時代からダムタイプの周辺にいたいわばダムタイプ・チュルドレンである坂本公成モノクロームサーカス)と本家ダムタイプのメンバーとのコラボレーションであるという点にも注目したい。




 桃園会「断象・うちやまつり」★★★★アイホール)も注目したい。これは関西を代表するコンテンポラリーダンサー・振付家であるヤザキタケシを招いてのリーディングとダンスのコラボレーション。リーディングにはWI'REのサカイヒロト、遊気舎の西田政彦と曲者が参加。この異色の顔合わせが深津篤史のテキストによってどのような舞台を見せてくれるのか。これは東京公演もあり、ダンスファンにとっても東京ではなかなか見られない稀有なダンサーであるヤザキと出会う貴重な機会になるはずだ。
 「うちやまつり」の後日談である深津の新作桃園会「paradaice、lost、lost」★★★にも注目したい。




 平田オリザの代表作「S高原から」を4人の若手演出家が競演する「ニセS高原から」★★★★。なかでも注目は五反田団「ニセS高原から」★★★★ポツドール「ニセS高原から」★★★★である。前田司郎、三浦大輔ともに群像会話劇の書き手として、ポスト平田オリザ(=青年団)の呼び声が高い若手劇作家・演出家だが、彼らが平田とどのように資質の異なる劇作家なのかは平田の戯曲に挑戦することで、より明確になってくるのではないかと思う。この2人は「S高原から」の戯曲をそのまま上演するのではなくて、高原のサナトリウムに滞在する患者とその訪問者の物語という「S高原から」の骨格を借りながらもオリジナルの台本を上演するということで、どんな風に変わるのかが楽しみ。ポツドールはやはり脱ぐシーンがあるんだろうなあ(笑い)。一方、三条会「ニセS高原から」★★★も身体表現系の劇団である三条会がどのように平田戯曲に取り組むのかに注目したい。こちらは戯曲はいっさいいじらないらしいので、そこの対比も面白いと思う。



 一方、東京では弘前劇場「FRAGMENT 刻印」「FRAGMENT F.+2」★★★★にも注目したい。主宰、長谷川孝治と並ぶもうひとりの柱であった畑澤聖悟らの退団など、激震が走った昨今の弘劇だが、体制を新たにしての再出発に選んだのは長谷川の代表作ともいえる「F.+2」と今から10年前、95年の作品「刻印」の「FRAGMENT」シリーズ2本立てである。再演とはいえ、再演ごとに新たな挑戦を見せてくれる長谷川演出だけに今回はどんな風になるのかが待ち遠しい。




 ダンスでは先月のソロ公演に引き続き、トヨタアワード、横浜ソロ&デュオダブルクラウンの東野祥子によるトヨタコリオグラフィアワードの受賞公演となるBABY-Q 「Alarm!」★★★★(シアタートラム)にも注目してほしい。コンペ総なめで注目の東野だが、カンパニーとしてはこれが東京では初めての本公演となる。「Alarm!」は再演ではあるが、カンパニーごと東京に拠点を移し、新展開を目指すBABY-Qとしても最初の公演となることもあり、内容は大幅に変更され、ほぼ新作に近いものになりそう。東野としても真価が問われる舞台となるだけにどんなものを見せてくれるのか。




 1年に1回、恒例の企画、なにわのコリオグラファーを自認する北村成美が踊りまくる北村成美「北村成美のダンスマラソン」★★★★も必見の公演。恒例の企画とは書いたが実は昨年のダンスマラソンは北村の故障のために公演中止になり、今回はその意味でも2年越しの待望の舞台。しげやん復活の鐘を華々しく鳴らす公演になるはず。





 元ダムタイプで現代美術作家として知られる高嶺格といえば金森穣とのコラボレーションでも話題となったが、今回は初のパフォーマンス作品に取り組む高嶺格パフォーマンス「もっとダーウィン」★★★★にも注目したい。現代美術作家としてはここのところ急速に知名度を上げ、今もっとも旬の人といっていい高嶺だが、舞台作品は未知数。それだけにどんな作品が出来上がってくるのか、期待が膨らむ。





 飛ぶ劇場「IRON」★★★★




 千日前青空ダンス倶楽部「夏の器 総集編」★★★★ 




 アサヒビールアートフェスティバルに参加してのトリのマーク(通称)「水と魚の記憶」★★★★にも引き続き注目したい。今回は「ふたつの向島-東京⇔尾道-
+<水と魚の記憶>」★★★★
のリーディング公演である。「場所から発想する演劇」のトリのマークが各地方の面白い場所と出会うことでどんなものを生み出すのか、興味はつきない。



 
 演劇・ダンスについて書いてほしいという媒体(雑誌、ネットマガジンなど)があればぜひ引き受けたいと思っています(特にダンスについては媒体が少ないので機会があればぜひと思っています)。特にチェルフィッチュについてはどこかにまとまった形で書いておきたいと思っているのだけれど、どこか書かせてくれるという媒体はないだろうか。
 私あてに依頼メール(BXL02200@nifty.ne.jp)お願いします。サイトに書いたレビューなどを情報宣伝につかいたいという劇団、カンパニーがあればそれも大歓迎ですから、メール下さい。パンフの文章の依頼などもスケジュールが合えば引き受けています。







中西