11月のお薦め芝居(2005年)



11月のお薦め芝居


11月のお薦め芝居

by中西理



 




 いろいろあって停止状態だったお薦め芝居。今月から大阪日記ともども再スタートしたい。




 今月のイチオシはKATHYgraf「炎のメリーゴーランド」★★★★である。KATHYというのは一応、ダンスカンパニーなのだが、これまで主として美術フィールドで活動してきた女性3人の集団で、その正体は謎という覆面カンパニー(黒のストッキングと金髪の鬘をいつもかぶり、観客には顔を見せない)。
 コンセプトとしてはKATHYというのは米国女性の名前で、彼女の指令のもとに彼女らはいろんな場所に出没、パフォーマンスを見せるということになっている。これまでは主として
美術フィールドで活動をしてきた彼女たちではあるが、今回は初の有料での単独公演となる。今回は横浜トリエンナーレの会期に合わせて、横トリでは奈良美智とコラボレーションをして話題を呼んでいる家具工房のgrafが舞台装置を担当。これが相当に力が入っているらしいので、ここにも注目である。
 美術ファンもダンスファンもまだ見たことのない人にはお薦め(レコメンド)である。




 演劇でのイチオシは桃唄309「ファイブ・ミニッツ」★★★★(中野ザ・ポケット)である。前作「ブラジャー」ではブラジャー100年の歴史を2時間弱の舞台に仕上げるという暴挙に挑戦して見事な舞台成果を見せてくれた長谷基弘だが、今回の新作ではなんと「あるプロレスラーは因縁の対決中、ふとした気のゆるみからあり得ない間違いを起こそうとしていた。あるサラリーマンは、重要な書類をなくし途方に暮れていた。ある家庭では、すき焼き鍋に牛肉を今まさに投入しようとしていた。ある街頭では、人混みのなか、危険な事件が起ころうとしていた。現代東京のさまざまな5分間をカットアップ。現代社会を構成する人々の、ごく小さな、打算、裏切り、敗北、愛、挑戦などの断片……」とわずか5分間の間にいろんな場所で起こった出来事を100分の芝居にするという。
 これまでの経験からいうとこういう「そんなものが果たして芝居になるのか」という変なことを考え出したときの長谷は凄い傑作を書き上げることが多いのだ。だまされたと思ってぜひ見に行ってほしい。




 一方、土田英生の新作MONO「衛兵たち、西高東低の鼻を嘆く」★★★★(ART COMPLEX1928)にも注目したい。こちらも「登場人物が物語を演じるのではなく『何もない場所を守る、五人の衛兵たち』という イメージだけを頼りになぜか哀しいコントのような芝居を創ってみる」という劇団サイトの紹介文からするといままでの土田作品とは一味違う実験作になりそう。どんな新たな展開を見せてくれるのか。ひさびさの本公演だけに期待したい。




 関西の実力派劇作家、大竹野正典の新作くじら企画「海のホタル」★★★★にも期待したい。佐賀・長崎連続保険金殺人事件を素材に今回は四谷怪談を連想させるような金の亡者たちを描き出す。事件ものを得意とする劇作家としては山崎哲、最近では坂手洋二の名前がまず挙がることが多いが、これまで関西だけで活動してきたために知名度こそ前者にゆずるが実力的には一歩も引けをとらない存在である。




 ダンスではJCDN巡回公演「踊りに行くぜ!!」in金沢★★★★金沢21世紀美術館)にも注目してほしい。「踊りに行くぜ!!」はJCDNによるコンテンポラリーダンスの全国巡回公演。今年で6回目の開催で、今回は10月から12月に、札幌、弘前、新潟、仙台、前橋、静岡、金沢、福井、長久手(愛知)、栗東(滋賀)、大阪、広島、松山、山口、福岡、佐世保、沖縄、そして06年2月に東京(「SPECIAL IN TOKYO」と銘打ち、本年度の話題作品を上演)の全18ヶ所で43組のアーティストが出演するという大規模なものとなった。金沢の参加メンバーは金沢舞踏館(金沢)/きたまり(京都)/近藤良平+野和田恵里花(東京)/峠佑樹(富山)/尹 明希(東京)の5組だが、なかでも注目なのは関西の秘密兵器と私が勝手に考えているきたまり。
 小柄で一見子供のようにも見えるちょっと「いたいけな」感じがするダンサーで、日本のコンテンポラリーダンスの特徴のひとつの極が桜井圭介氏が主張する「コドモ身体」であるとすれば、まさにそれを体現するような存在である。ただ、時折、その表情の変化により、「こども」的なものをはみ出すような奇妙な色気とか、まるで老婆のように見えたりするようなアンビバレントな要素が「こども的な身体」と共存しているのが、彼女のオリジナルな魅力となっている。
 最初に見た「踊りに行くぜ!!」in栗東ではまだ未完成の感が強かった彼女の作品が巡演を重ねることでどのように成熟してきたか。私はこれを見たいがために金沢まで行くつもり。





 松山に本拠地を置く女性だけのダンスカンパニーによる新作YummyDance「もももってきてちょうだい」★★★★にも注目したいところ。もっともスケジュールが東京の山田せつ子+天野由起子「奇妙な孤独」★★★★と重なっていてこちらも必見なので、休みが取れるかどうかも含めて現在頭を痛めているところだ。なんとか両方見られるウルトラCはないだろうか。




 ミュージカルでは梅田芸術劇場レ・ミゼラブル」★★★★にも注目したい。このミュージカルは私が最初に演劇に興味を持つきっかけとなったこともあり、私にとっては特別の意味を持つミュージカル。毎回新たなキャストが注目だが、今回は新たな発見があるだろうか。ただ、今回はこれに見にいくと絶対に本田美奈子のことを思い出すだろうなと思う。あらためて、早すぎた死を嘆きつつ冥福を祈る。



 
 演劇・ダンスについて書いてほしいという媒体(雑誌、ネットマガジンなど)があればぜひ引き受けたいと思っています(特にダンスについては媒体が少ないので機会があればぜひと思っています)。特にチェルフィッチュについてはどこかにまとまった形で書いておきたいと思っているのだけれど、どこか書かせてくれるという媒体はないだろうか。
 私あてに依頼メール(BXL02200@nifty.ne.jp)お願いします。サイトに書いたレビューなどを情報宣伝につかいたいという劇団、カンパニーがあればそれも大歓迎ですから、メール下さい。パンフの文章の依頼などもスケジュールが合えば引き受けています。

11/30,12/30,12人の優しい日本人 ,パルコ・プロデュース ,PARCO劇場
,★★★    |
11/25,11/27,ハロルド ,ゴーゴーハリケーン ,青山円形劇場
,★    |
12/06,12/31,贋作・罪と罰 ,NODA・MAP ,シアターコクー
ン ,★★    |
11/16,11/20,くるみ割り人形 ,Kバレエカンパニー ,オーチャードホ
ール ,★★    |
11/20,12/04,パーマネント・ウェイ ,燐光群 ,シアタートラム
,★    |
12/11,12,25,ソウル市民 ,レパートリーの創造2005 ,シアタートラム
,★    |
11/30,12/04,ファイブ・ミニッツ ,桃唄309 ,中野ザ・ポケッ
ト ,★★★★    |
12/03,12/12,無理矢理 ,劇団、本谷有希子 ,吉祥寺シアター
,★    |
11/28,12/06,DUST ,reset-N rare-track ,吉祥寺bar drop
,★★    |
11/18,11/18,ジュンリー!開放! ,毛皮族 ,新宿FACE
,★★    |
11/26,12/06,SMOKE -LONG VERSION- ,流山児★事務所 ,ザ・スズナリ
,★★★★    |
11/17,11/20,パンチ ,げんこつ団 ,駅前劇場
,★★★    |
11/18,12/04,砂と兵隊 ,青年団 ,こまばアゴラ劇
場 ,★★★    |
12/08,12/18,森下真樹ダンスショウ!! ,Study of Liveworks発条ト,こまばアゴラ劇
場 ,★★★    |
11/18,11/21,最後の「ボレロ」 ,シルヴィ・ギエム ,東京文化会館
,★★★    |
11/26,11/27,山椒大夫 ,三条会 ,三条会アトリエ
,★    |
11/25,11/30,ヤルタ会談忠臣蔵・OL編 ,青年団 ,シアターZOO
,★★★★    |
11/18,11/23,衛兵たち、西高東低の鼻を…,MONO ,ART COMPLEX 19
28 ,★★★★    |
11/19,11/27,GLORY DAYS 2005/風の… ,ランニングシアターダッシ,AI・HALL
,★★    |
11/17,11/20,ダブリンの鐘つきカビ人間 ,後藤ひろひと作・G2演出 ,梅田芸術劇場
インH,★    |
12/11,12/11,10周年ありがとうセレモニー,ロリータ男爵 ,ロフトプラスワ
ン ,★★★★    |







中西