12月のお薦め芝居(2005年)



12月のお薦め芝居


12月のお薦め芝居

by中西理



 




 いろいろあって停止状態だったお薦め芝居。今月から大阪日記ともども再スタートしたい。




 演劇では谷省吾(遊気舎/いるかHotel)が畑澤聖悟(渡辺源四郎商店)の代表作2本を異色のキャスティングで上演するいるかHotel「月と牛の耳」「背中まで四十分」★★★★にも注目したい。久保田浩(遊気舎)=「背中まで四十分」、隈本晃俊(未来探偵社)=「月と牛の耳」と外部から強力な客演を迎え、畑澤が弘前劇場時代に上演した代表作を連続上演で関西初演する。
 どちらも弘前劇場により初演は見た作品ではあるが、谷演出、関西の役者たちによる上演はまったく違ったテイストになりそうで、どんなものになるのかが今から楽しみだ。関西では弘前劇場の公演はあっても、畑澤作品は初めてだが、この2本は絶対に面白いはず。





 今月は注目のダンス公演がそれこそ目白押し。そのなかで全国的にはほとんど無名の新人のしかも大学の卒業公演をあえてイチオシとしたい。きたまりのKIKIKIKIKIKI「プロポーズ」★★★★京都造形芸術大学studio21)がそれである。
 きたまりは大阪のダンスボックスを拠点に活動する舞踏カンパニー「千日前青空ダンス倶楽部」のメンバーであり、京都造形芸術大学の学生なのだが、すでにソロダンサーとしても自らの振付作品でJCDN巡回公演の「踊りに行くぜ!!」に選考され、今年の秋は全国3ヵ所の会場で踊るなど若くしてすでに学生の域を超えた活動を開始している。
 ソロダンサーとしても最近のコンテンポラリーダンスの1つのトレンドである「コドモ身体」を体現したような特異な個性の持ち主であり、今後の成長が楽しみなのだが、「関西最大の隠し玉」としてそれ以上に大きな期待をしているのはコレオグラファーとしての才能で、彼女のカンパニーであるKIKIKIKIKIKIの旗揚げ公演「改訂版 男の子と女の子」はほとんど素人同然のキャリアの出演者ばかりの学生による学内公演だったのにもかかわらずそのセンスのよさが際立っていて、2004年のダンスベストアクトに選んだ。
 この時も彼女自身は出演せず振付に専念したが、今回の公演も出演者はすべて後輩の学生。ただ、今回の公演がちょっと前回と違うのは出演者に全員バレエ経験のあるダンサーを選んだということ。彼女自身のダンスにおける基盤は舞踏なのだが、振付・構成においてはそれ以外の要素も含んだコンテンポラリーダンスであり、バレエの経験者を集めて今度は彼女がどんな仕掛けを考えているのかにすごく興味が引かれるのである。 




 ヤザキタケシ+アローダンスコミュニケーション「ブルータイム(Blue Time)」★★★★伊丹アイホール)もフランスを中心に国際的な活躍をしながら、地元関西では本公演がなかったヤザキの作品をひさびさに見られる貴重な機会として、見逃すことができない舞台である。今回上演される「ブルータイム(Blue Time)」は国立パリダンスセンターとヤザキタケシの共同制作作品として一昨年11月にパリ日本文化会館で初演されたものでその時に現地で見ている*1のだが、その時からフランスを中心にいろんな場所で再演されており、作品としてより練り上げられた姿を見せてくれるはず。




 一方、年明けにはなるが、BABY-Qの東野祥子、CRUSTACEAの濱谷由美子がそれぞれ新作を上演する横浜ダンスコレクション2006R「ソロ×デュオ受賞記念公演」★★★★横浜赤レンガ倉庫)にも注目したい。東野は現在拠点を東京に移したがともに関西出身で、関西ダンス界において(あるいは東京を含めても?)異端の存在であり続けたこの2人(東野と濱谷)は実は同年齢でもあって、相当にお互いライバル意識のようなものを持っているらしいから、その火花が散りそうな今回の公演はいつも以上に注目なのである。もちろん、岡本真理子のアート性溢れる舞台にも期待したい。




 ダンスでは横浜・京都で上演される山下残「船乗りたち」★★★★にも期待したい。言葉と身体をテーマに取り組んできた山下残が、「今後の新たな展開を示す即興をつくるダンス作品。作り込んだ作品を本番で全く異なる作品に変化させる試み。振付された身体から抜け落ちる人間の内面性をダンスにする」という。即興とはいえ、山下残が作るのだからきっと即興ダンスのイメージからはひとひねりもふたひねりもしたものになるはず。ダンサーとして関西では超売れっ子になりつつある垣尾優が山下残作品にひさびさに戻ってどんなものを見せてくれるかも楽しみである。





 松山に本拠地を置く女性だけのダンスカンパニーによる新作YummyDance「もももってきてちょうだい」★★★★にも注目したいところ。もっともスケジュールが東京の山田せつ子+天野由起子「奇妙な孤独」★★★★と重なっていてこちらも必見なので、休みが取れるかどうかも含めて現在頭を痛めているところだ。なんとか両方見られるウルトラCはないだろうか。




 北村成美がアートシアターdBに登場する北村成美「シゲニカルパレード」★★★★にも注目したい。前回の「シゲニカルゲート」ではフェスティバルゲートの広場にも飛び出して、劇場以外の空間での行きずりの人まで引き付けて巻き込んでしまう彼女ならでは魅力を存分に発揮してくれたが、今回は果たしてなにをやらかしてくれるのかが今から楽しみだ。





 演劇・ダンスについて書いてほしいという媒体(雑誌、ネットマガジンなど)があればぜひ引き受けたいと思っています(特にダンスについては媒体が少ないので機会があればぜひと思っています)。特にチェルフィッチュについてはどこかにまとまった形で書いておきたいと思っているのだけれど、どこか書かせてくれるという媒体はないだろうか。
 私あてに依頼メール(BXL02200@nifty.ne.jp)お願いします。サイトに書いたレビューなどを情報宣伝につかいたいという劇団、カンパニーがあればそれも大歓迎ですから、メール下さい。パンフの文章の依頼などもスケジュールが合えば引き受けています。

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中西