これから観る舞台12月前半by中西理

松田正隆×松本雄吉『石のような水』(作:松田正隆、演出:松本雄吉)
12/5(木)〜8(日) にしすがも創造舎 4,500円
 マレビトの会の松田正隆維新派の松本雄吉。ともに孤高の存在として、日本の現代演劇の最前線を疾走してきた異色コンビによる第2弾。前作「イキシマ」は大阪のみの上演であったが、年間ベスト級の傑作だった。「ストーカー」「惑星ソラリス」などを原案に松田正隆がオリジナル作品を描き下ろし、松本雄吉が演出する。ともに映画フリークでもある2人が贈る巨匠タルコフスキーへのオマージュでもあり、3・11後の日本の現在に対する警鐘でもある。フェスティバル/トーキョー2014の白眉となる作品。
 
チェルフィッチュ『地面と床』(作演出:岡田利規
12/14(土)〜23(月祝) 神奈川芸術劇場 4,000円
 岡田利規の新作『地面と床』はバンド「サンガツ」がセッションをするように、俳優とバンドによる「生演奏」で楽曲を制作し、実際の舞台上でも俳優の身体と音楽が同じ階層(レイヤー)に置かれる音楽劇。日本語がほとんど誰にも伝わらなくなった近未来の日本を舞台に言葉と故郷を失いつつある社会に生き、記憶と忘却の狭間で揺れ動く〈生者〉たちと、彼らを憂う〈死者〉の利害が対立するさまを描いていく。新しいスタイルへの挑戦がどんな作品を生み出したのか、注目したい。

SPAC『忠臣蔵(作:平田オリザ、演出:宮城聰)
12/14(土)〜15(日)、12/21(金)〜23(日) 静岡芸術劇場 4,000円
 1999年第2回シアター・オリンピックスで静岡県民100人が参加して初演された『忠臣蔵』(作:平田オリザ、演出:宮城聰)は作者である平田自らもその後青年団忠臣蔵OL編」などとして上演、好評を博してきたが、宮城聰演出版がひさびさに復活する! 戦を知らない侍たちが「討ち入り」に向かっていく日本人独特の意思決定プロセスを現代的に描いた『忠臣蔵』爆笑編。これは必見

Port B『ガイドブックとラジオを手に訪れるアジアからの留学生たちの痕跡「もう1つの東京」に出会う』(構成・演出/高山明)
11/9(土)〜12/8(日)  都内各所 *ツアーキット受取所: 東京芸術劇場内1Fアトリウム特設F/Tインフォメーション 3,500円
 3.11後の現実に向き合った近作『Referendumー国民投票プロジェクト』(F/T11)、『光のないII』(F/T12)が、ウィーン芸術週間でも上演されたPort B。フェスティバル/トーキョーに参加しての最新作は、アジアからの留学生たちの痕跡を歩く「旅」の演劇。ガイドブックと携帯ラジオを手に観客はそれぞれがレストランや公園などさまざまな場所を訪問する。そこでラジオから聞こえるのは、かつてその場所に生きた人や縁のある都市、国の物語。観客は未知のアジア、そして「現実の中の異郷=ヘテロトピア」としての東京に出会う。キーワードは「旅」と「翻訳」。物語(テキスト)は実際の東京への留学生と管啓次郎、林立騎ら翻訳者との対話を元に生み出された。その過程で考えられたことも「ラジオ番組」などを通じ、広く発信される。 
 

中西理