珍しいキノコ舞踊団「フリル(ミニ)」(4時〜)を観劇。

 昨年のアートスフィアの公演「あなたが『バレる』と言ったから」で来日カンパニーにひけを取らぬコンテンポラリーダンスカンパニーとしての質の高さを見せてくれた珍しいキノコ舞踊団だが、純ダンス色の強かった前作と比べ新作「フリル(ミニ)」では狭い空間を使って遊び心に溢れた舞台を見せてくれた。ビートルズのアルバムに例えれば前作が巧緻に構成された「サージェント・ペパー」だとすれば一転して、肩の力を抜いてラフスケッチ風にいくつかのシーンをつないでいった今回の舞台は「ホワイト・アルバム」といったところだろうか。

 もっとも、前回公演でもダンス色の強い作品を振り付けたのは小山洋子で今回、構成・演出・振付を担当した伊藤千枝の作品はかなり遊びの色が強い作品だったので、今回の作品はそれを一層推し進めた作品ということになるだろうか。この舞台ではコンテンポラリーダンスとして踊りますよという感じを極力押さえて、等身大の若い女性が集まって、仲良くじゃれ合っているようなところから音楽に乗って身体を動かしているうちごく自然にダンスが生まれてくるというような構成を取っている。そして、踊っている彼女らが楽しそうなので自然と見ているこちらも楽しくなってくる。既成のダンスを宙づりにするようなメタダンス的なアプローチというのはこの公演の前に見たダンスセレクションでニブロールがやっていたり、キノコも過去にそういうことを何度もやってきたのだが、この作品ではそういうところを通り過ぎて「踊りって楽しいんだよ」というのをあえて理屈抜きにぬけぬけと演じてしまっている。

 山下三味子、井出雅子、樋田佳美、山田郷美、佐藤昌代、飯田佳代子、伊藤千枝の7人のダンサーがそれぞれの個性を発揮しているのもこの作品の魅力で、特に今回はイチゴプリントの衣装で踊ったダンサー(おそらく、飯田佳代子)の派手さはないけどちょっとすました品のいいダンスにいつのまにか引き付けられた。

 最初の方の若い主婦たちの井戸端会議風のシーンをはじめ、この作品ではこれまでキノコの作品で強調されていた少女性とか無垢な感じとはちょっと変わって、それでもやはり「女性」(女ではなく女性)を感じさせる表現で、これはこのカンパニーの今後の方向性を考える意味で非常に興味深いところがあった