うずめ劇場「ペンテジレーア」

 うずめ劇場「ペンテジレーア」(6時半〜、京都北文化会館)を観劇。うずめ劇場は北九州に本拠を置き、旧東独出身のペーター・ゲスナーが主宰する劇団である。これまで名前は聞いていたことがあったが、実際に見たのはこれが初めてである。クライストの戯曲「ペンテジレーア」はトロイ戦争で戦うギリシアトロイアの前に忽然と姿を現したアマゾネスの女王ペンテジレーアとアキレウスの愛を寓話的に描き出したもので、見る前にはフェミニズムであるとか特定の解釈に沿ったステレオタイプなものになっていないか危ぐを覚えていたのだが、「語り」を重視した演出は戯曲解釈としてはきわめてオーソドックスなもので好感が持て、タイトルロールを演じたク・ナウカ中村優子の好演とともにみどころのある舞台となった。
 このクライストの戯曲は独白とも思われるほどの長台詞の連続から構成されており、ペンテジレーア、アキレウスといった中心人物は自らの心情をとうとうと吐露したり、あるときは周囲の人間に静かに言い聞かせるかのようにように説得したりとフェーズを異にする様々な「語り」の演技を駆使する必要がある。その意味でどちらも客演ではあるが、中村優子アキレウス役大久保倫明(フリー、元SPAC)の演技はこの舞台の屋台骨を支えるだけの力を感じさせた。
 特に中村については以前から名前は知ってはいたが、ク・ナウカでは美加理の存在があまりに大きいこともあってこれほど素晴らしい女優だということにはこれまで気が付かず、吃驚させられた。