新国立劇場バレエ「THE CHIC」

新国立劇場バレエ「THE CHIC」
第1部
シンフォニー・イン・C
振付:ジョージ・バランシン
音楽:ジョルジュ・ビゼー
《第1楽章》
酒井はな, マイレン・トレウバエフ 高橋有里, 西山裕子, 江本拓, 高木祐次
《第2楽章》
志賀三佐江, 奥田慎也 寺島ひろみ, 本島美和, 富川直樹, 中村誠
《第3楽章》
遠藤睦子, 富川祐樹 さいとう美帆, 島添亮子, グリゴリー・バリノフ, 吉本泰久
《第4楽章》
西川貴子, 陳秀介 大森結城, 前田新奈, 市川透, 貝川鐵夫
 酒井はなのファンだからというのでこのバレエ団を見続けてきたともいえるのだが、酒井の魅力が味わえる演目とはいえない。というか、何度も見てはいるのだが、改めて感じたのは私はバランシン自体がどうも苦手。いろんな作品を何度見てもイマイチよさが分からないのである。そういうわけでこの演目は私にとってはほとんど新しく入団したダンサーのチェックに終始した。新入団ダンサーでは寺島ひとみ、さいとう美帆がちょっと気になる存在。
第2部
『ジゼル』第2幕よりパ・ド・ドゥ
振付: J・コラリ/J・ペロー/M・プティパ
改定振付: コンスタンチン・セルゲーエフ
作曲・アドルフ・アダン
ジゼル: さいとう美帆 アルベルト: 小嶋直也
 さいとう美帆はこのシーズンから入団した新国立劇場バレエ研修生第1期生から抜擢された新人。まだまだ、感情表現などには難がなくはないものの容姿がすらっとしていて、可憐、キュート。これまでの新国立劇場バレエのプリマにはいないタイプでちょっとした「スター候補誕生」といったところだろうか。ただ、この踊りだけでは可憐なタイプでこの日演じたジゼル第2幕のような妖精のような役柄は似合っているというようなアバウトなことしか分からず、すでに年明けに「シンデレラ」の主演が決まっており、これも期待はしたいが、バレエダンサーとしての器を推し量るにはもう少しいろんな役柄を見てみたい。
 小嶋直也は今回はさいとうのサポートに徹した形だろうか。もともとアルベルト(セルゲーエフ版ではアルブレヒトはアルベルトなのね)は小嶋の得意な役柄とも思えないのだが、ジャンプの高さなど見るべきところはあってもなんとなく全体に地味な感じである。ただ、体調不良で牧バレエの公演を降板したところだったので心配したが、元氣な姿は見せてくれてひと安心である。
ここからは素人の1バレエファンのたわごとと聞き流してほしいのだが、私がバレエに興味を持ったのは漫画「SWAN 〜白鳥〜」からで、あの漫画は日本初の国立バレエ学校が出来て、主人公の聖真澄らがその第1期生となるところから始まるので
、それから30年も遅れて誕生した新国立劇場バレエ研修生だが、ここから海外のバレエ団のスターと肩を並べるようなダンサーが出てきてこそ、初めて新国立劇場バレエ団の意味があると思うからだ。 
 その辺りのことは(http://member.nifty.ne.jp/simokitazawa/new99-4.html)の4月8日の日記を参照のこと。
『こうもり』第2幕よりパ・ド・ドゥ
振付: ローラン・プティ
音楽:ヨハン・シュトラウス2世     編曲:ダグラス・ガムレイ
ベラ: 真忠久美子    ヨハン: 山本隆之
 真忠久美子もおそらく「こうもり」での抜擢以来初めて見るかもしれない。ちょっと小ぶりな感じがするが、こういうコケティッシュな役柄をやらせるとなかなか魅力的である。山本隆之はいまやこのバレエ団の看板的存在になりつつある山本だが、私はだめだ。どこがいいのかもうひとつ分からない。今回そのことがよりはっきりした。
『ラ・バヤデール』第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ     改定振付:牧阿佐美
音楽:レオン・ミンクス
ニキヤ: 高橋有里  ソロル: 吉本泰久 
 高橋有里もどうも印象が薄い。何度も見ているはずだが、どうも他のダンサーと混同してしまって、完全な個別認識ができない。一方、吉本泰久は最初に見た時からテクニシャンぶりがきわだっていて、印象に残ったダンサー。この人には期待しているのだけれど、この日、ソロルのグラン・パ・ド・ドゥを見たところはジャンプは高くて時折、はっとさせられるほどの時もあるのだけれど、回転の最後の着地でぐらついていたりしたようだったのが気になった。回転系は苦手なのか? でも、最初に見たときには道化でその時は綺麗に回っていた記憶があるし、たまたま、あるいは私の勘違い?
『ロメオとジュリエット』第1幕よりバルコニー・シーン
振付:サー・ケネス・マクミラン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ジュリエット:志賀三佐江  ロメオ:デニス・マトヴィエンコ
 全幕では酒井はなのを見ているため、志賀三佐江のジュリエットを見るのは初めて。評判がよかったのが、うなずける演技であった。デニス・マトヴィエンコ
 は容姿に恵まれたダンサーなのでよくないということはないが、素晴らしいというほどでもない。無難にこなしてるといったところか。マトヴィエンコのせいではないとは思うが、白いシャツが回転する時に遠心力で提灯状に広がってしまう衣装はなんとかならないか。躍っている最中、気になって仕方がなかった。これは衣装だけじゃなくて、マトヴィエンコの着こなしにも問題はあるのだろうか。
第3部
『ジャルディ・タンカート』
振付:ナチョ・デュアト
音楽:アリア・デル・マル・ポネ
厚木三杏, 湯川麻美子, 遠藤睦子 貝川鐵夫, 白石貴之, 山本隆之
 実はこの日のメーンの目的はナチョ・デュアトのこの作品を見ることだったのだが、前に新国立バレエで上演した『ドゥエンデ』 がよかったので、この作品にも期待していたのだが、正直言ってあまりピンとこなかった。少し古風なモダンバレエの印象が強い。対照的にダンサーは好演。特にスターダンサーズバレエ団から移籍、新入団の厚木三杏は存在感が抜群で、今後が一層楽しみだ。