小野不由美「くらのかみ」講談社ISBN:4062705648 http://www.bk1.jp/0233/02338516.htmlを読了。
 大部分の小野不由美ファンというのは「十二国記」シリーズのファンであって彼女に本格ミステリを期待しているのはごく少数に限られているのだろう。
ただ、私は京大ミステリ研時代の彼女を直接知っていて、この人が資質として本格ミステリを書ける人だというのを知っているので、児童ものとはいうものの「黒祠の島」に引き続きミステリ小説を書いてくれたのがただただ嬉しいのである。パズラーとしては論理のやたら細かいところと大雑把なところが混在しているし、作品内論理における境界条件が不明確であるという大きな欠陥を持っていることは否めないのだけれど、それでも次のミステリ作品も読みたいという気にさせる奇妙な語り口をこの小説が持っていることも確かなので、まあ堅いことは言わなくてもいいかという気にさせられた。