鮎川哲也「沈黙の函 [新装版] ―鬼貫警部事件簿 」(光文社文庫)を読了。
 鮎川哲也については長らく絶版になっていた「白の恐怖」を除けばだいぶ以前に全作品を読了していると思い込んでいたのだが、最近ふと書店でパラパラとめくってみて見慣れぬ本を見つけ、念のためにと思いネットカフェで関連サイトhttp://homepage1.nifty.com/kokubyaku/ayukawa.htmを検索してみたところ、未読作品がまだあるということに気が付きさっそく文庫本で「戌神は何を見たか」「偽りの墳墓」「沈黙の函 [新装版] ―鬼貫警部事件簿 」の3冊を手に入れ読んで見ることにした。
 「人それを情死と呼ぶ」「憎悪の化石」など全盛期の傑作群と比較すると落ちることは否めないが、最後の方のネチネチした論理の進め方にさすが鮎哲を感じさせたのが「偽りの墳墓」。最初の方の事件から意外なつながりが最後のアリバイ工作の解明へとつながっていくプロットも秀逸だと思う。
 「沈黙の函 [新装版] ―鬼貫警部事件簿 」は古いレコード録音に関するうんちくを別にするとミステリ部分はやや軽量級か。「戌神は何を見たか」もミステリに関するうんちく部分は面白いのだが、ネタ部分は割と早い段階で割れてしまうのが少しもの足りない。