平田オリザ「地図を創る旅 青年団私の履歴書白水社)を読了。
 青年団の設立された82年〜83年から91年までを平田オリザが回顧した自叙伝的な著作である。私の青年団との出会いは93年の「ソウル市民」のザ・スズナリでの再々演で、実はこの後、すぐにあった
韓国公演のうちプサンでの公演に追いかけて行き、そのレポートを演劇情報誌じゃむちに書いた時になにかレポートのタイトルがほしいと編集部に言われ、仮に「下北沢通信」とつけたのが、このサイトの前身であったじゃむちの連載コラム「下北沢通信」のきっかけとなった。
 それ以前のことは折に触れて、断片的には聞いてはいたのだけれど(最初のころは夢の遊眠社のような芝居だったとか)、これだけまとまった形で知ることが出来たのは貴重な経験で、きわめて刺激的であった。
 ここであらためて思ったのは表現は、そして劇団は1日にしてならずということだ。私が最初に見た時点で青年団のスタイルはほぼ完成の域に達していて、だからこそその表現のざん新さと完成度の高さに感嘆させられて、韓国まで追い掛けることにもなったのではあるが、そこに至るまでには本当に様々な試行錯誤があったということ。特に青年団の場合はその間に10年もの歳月がすでに経過していたわけであり、その一番旬であったまだ海のものとも山のものとも分からないのだが可能性に満ちていた時代の舞台を見てみたかったなという今となっては実現不可能は欲望に思わずとらわれてしまったのである。