そとばこまち「丈夫な教室 ―彼女はいかにしてハサミ男からランドセルを奪い返すことができるか―」

 そとばこまち「丈夫な教室 ―彼女はいかにしてハサミ男からランドセルを奪い返すことができるか―」アイホール)を観劇。
 小学校の教室。夕暮れ時のなかひとりの女性が入ってきて、静かにショパンピアノ曲を弾き始める。このピアノの音が静かに基調底音のように流れるなか、かつてここであったある事件が再び浮かび上がってくる。
 小原延之の新作。前回公演で辰巳琢郎座長時代の旧作「猿飛佐助」を上演し、ある意味「どうして」と思わせたが今度はこんな舞台を上演するとは。スタイルはそんなに斬新とは思わないが、小原延之の舞台にかける誠実な思いを感じさせる好舞台であった。これまでの小原の作品の方向性からこういうものが出てくるのは予想できなかったのでびっくりさせられた。
 この集団は元々優れた役者集団であることが原点にあり、作品の方向性、演出・演技のベクトルが一度かみ合うとこういうシリアスな主題と正面から向かい合ったストレートな会話劇でもこれだけの舞台成果を見せてくれる。集団としての底力を感じさせられた。
 ここでは舞台の性格上あえて公演終了まで内容については触れないでおくが間違いなく今年上半期の収穫。明日以降まだ公演日が残っているので、時間の許す人はぜひ劇場まで足を運んでみてほしい。