児島サコ展

 児嶋サコ展「Many balls are going to die」(studio J)を見る。
 現代美術を見はじめたころ最初に気になったのが彼女の作品であり、今でも気になる作家であることには間違いないが……。今回の主題は戦争ということを聞いて、「それは彼女に向いた主題なのか」と危ぐしたとおりになっていた。正直言って今回の展示は彼女としては失敗のような気がする。
 女性作家特有の生理的な感覚を武器にセクシャリティーの問題に切れ込んでいくようなフィールドでキャラが立つような「恐可愛(こわかわ)いい」作品を作っていたのが私がこれまで見た彼女の作品で、それ以上の社会的な問題への広がりがあまり感じられないというのがよくも悪くも彼女の持ち味だった。
 おそらく、イラク戦争を意識して「戦争」を主題にした作品をつくったのだとは思うが、戦争という主題へのアプローチがあまりにもナイーブ。彼女のようなタイプの美術作家でさえ、こういう主題に取り組まざるえないということが現代の状況を逆照射しているということもいえるのかもしれないのだけれど。