柴崎友香「きょうのできごと」

 柴崎友香きょうのできごと河出文庫)を読了。
 映画「きょうのできごと」を見た時から気になっていた原作となった短編小説集をやっと読むことができた。短編小説ではないのだけれど、短編連作漫画を映画化した「櫻の園」のことが念頭にあって、これは映画として非常にうまくできていると勝手に感心していたのだが、原作を読んでみて愕然。確かに新しいエピソードをつなぎに入れて膨らませたりはしているけれど、これってかなり細かいディティールまで原作そのままだったんじゃないか(笑い)。
 特に映画の感想*1で「ちょっと面白いのは最初のうち時系列で同時進行的に描かれているのかと思われるそれらのエピソードが実は一部は順序が逆になっていたりするところだ。例えば冒頭の場面で車に乗って正道の家に向かうかのように見えた中沢ら3人のシーンは実はそこからの帰り道だというのが、後から違うカットでこの場面が繰り返されることで分かるのだが、この場面を冒頭に提示することで、この3人の微妙な関係が大人数の宴会場面に入る前に分かる仕掛けになっているわけだ」と書いた部分が時系列も含めてすべて原作の順序で映画化されていたんだって分かった時にはちょっと拍子抜けした。その分、小説の評価は上がったことも確かなだけれどね。
 この人が「ショートカッツ」という作品を書いていて、以前から「きょうのできごと」って映画がロバート・アルトマンレイモンド・カーヴァーの小説を映画化した「ショートカッツ」に似ているなと思っていたので、この小説の表題にはちょっと引かれるものを感じている。書店で見つけたら読んでみたい。