ピナ・バウシュ「バンドネオン」

 ピナ・バウシュバンドネオン(新宿文化センター)を観劇。
 新作は見られなかったので今回見たピナはこれだけ。それにしても楠田枝里子のひとりスタンディングオベーションが目立ちに目立ってしまう終演後の観客席の力ない拍手に今回の公演の中身は象徴されていたのではないだろうか。初演当時はどうだったのか分からないのだが、今見るとあまりにも古色蒼然としている。この作品の前後には「カーネーション」とかピナの傑作といわれる作品群が次々と登場していた時期の作品だけに期待していたのだが、この作品にはほとんどダンスは影も形もないし、かといって演劇としても一応、アンチテアトルといえるような舞台なのだが、今となっては衝撃性も挑発的なところもまったく感じられず、抜け殻みたいである。
 アルゼンチンが主題ということで面白かったのは皮肉の利いたサッカーの反則のやり方指南の場面だけでは……。ただ、この場面だけはドイツ出身の振付家がアルゼンチンを主題にした時に出てきたのが、反則の演技指南というのはどちらもサッカーにおいて反則を戦術の一環と見なすようなお国柄という共通点があるだけに皮肉が利いてるなと思ったのだが、それって深読みのしすぎかしら(笑い)。