flaneurs(フラヌール)第2回単独公演「イキル」

 flaneurs(フラヌール)第2回単独公演「イキル」(アートシアターdB)を観劇。
 flaneursはそれぞれジャズ、モダン、バレエと異なったダンス経歴を持つ秋山雅近、高橋温子、関原綾乃の男1人、女2人のコンテンポラリーカンパニー。昨年トリイホールで旗揚げ。その時はチラシを見て、関西ではカンパニーの形できちんと単独公演をしている人たちはまだ少ないので気になってはいたのだが、都合がつかず、今回初めてちゃんとした形で見ることができた。
 公演としては2部構成で1部が冴子、太士のデュオによるゲスト作品「Duo-complete.huh?」。休憩をはさんで第2部がflaneursの「イキル」であった。
 作品は最初、客席を向いて3人のパフォーマーがスポットの中に浮かび上がり、人を待つときのせわしなく、身体のあちこちにさわったりするような動きをそれぞればらばらにしかし、流れる音楽にシンクロして行うところからはじまる。日常的な身体のありようをダンスのなかにちりばめたりするのが、日本の最近のコンテンポラリーダンスのトレンドとなっているが、これもそういう傾向を反映したものだろうかと見ていると、次の場面では3人が椅子に座ってやはり同じように日常的な仕草を繰り返すがここの場面は完全に日常性の構築的再現というよりはもう少しミニマルダンス的な構成となってくる。
 ここまでの展開は今後どんな風に着地するのだろうと思って期待が膨らんだのだが、中盤以降、単なる仕草性というよりはマイム風の動きや踊りと組み合わせながら、椅子の配置をあちこちに動かすというような「水と油」の手法を思わせるようなシーンが増えていき、ダンスパントマイムといっても過言ではないようなスタイルに落ち着いていった。
 そういうものとして、しっかりと観客にアピールできるようなスタイルを確立していくために必要なスキル(特にパントマイムの技術)が不足しているのは一目瞭然で、欠陥をあげつらえば枚挙にいとまがないほどだが、ポップなセンスと「今ここに生きている私たち」みたいなスタンスをはっきりと出していっているのは面白く、このジャンルですでに実績を積み重ねている上海太郎舞踏公司*1にも水と油にもないもので、単純に模倣ではないという意味では好感を持った。
 もっとも、現時点では彼らの作品はまだはっきり作品として確立されたというレベルというよりはまだまだ習作的で、表現のトバ口としかいえない段階。ダンスパントマイムというスタイルを今後もつきすすめていくのだとすれば最低限でもマイムの基本的技術を習得することが必要だ。さらにいえばダンスとしては後半多用された明らかにステレオタイプなマイム表現(壁など)ではなくて、前半のような演劇的な仕草を生かしたようなダンス表現の方がこの集団の進む道としては可能性があるのではないかと思った。その場合でもマイムの技術が不必要というわけではないので、それをある程度習得したうえで捨て去るような勇気も必要かとも思うが、いまの段階でそれを要求するのはないものねだりかもしれない。現時点でだれにでも薦められるわけではないが、今後の可能性は感じさせる公演であった。