塚原史「ダダ・シュルレアリスムの時代」

 塚原史「ダダ・シュルレアリスムの時代」ちくま学芸文庫)を読了。
 ダダ・シュルレアリスムの通史、といってもトリスタン・ツァラについての記述は過半を占め、ダダイスムについての本といった方がいいのだが、このツァラという人、実にカッコいいのだ。シュルレアリスムについて知りたいと思って読み始めたのだけれど、この人の魅力にほれ込んでしまった。1910年代から20年代にかけてのヨーロッパ芸術にアヴァンギャルドの嵐が吹き荒れた時代。
ロシア構成主義、オランダの新造形主義、ドイツのバウハウス、イタリアの未来派、スイス・チューリッヒのダダ、フランス・パリを拠点とするシュルレアリスム……。面白い時代だったんじゃないかと思う。
 だれかツァラのことを小説か映画にしてくれないだろうか。ダダとは直接は関係ないからこの本には登場しないけれど、ディアギレフとバレエ・リュスがパリを舞台に活躍したのもこの時代だった。そういえば両方と関係していた人にエリック・サティがいたはず。この本によればサティは1923年7月のダダのイベント「ひげの生えた心臓の夕べ」に参加して、マルセル・メイユと「梨の形をした小曲」を連弾している。このイベントではリジカ・コドレアーノという人がダンスで参加しているのだけれど、これはいったいどんなものだったんだろうか。