クロムモリブデン「ボウリング犬エクレアアイスコーヒー」(王子小劇場)

 クロムモリブデン「ボウリング犬エクレアアイスコーヒー」王子小劇場)を観劇。
 前々作の「なかよしshow」はマイケル・ムーア監督の「ボウリング・フォー・コロンバイン」を下敷きにしていたが、今回の「ボウリング犬エクレアアイスコーヒー」も明らかに同じ映画を意識した設定。ここで描かれるのは米コロンバイン高校の連続銃射殺事件が直前のボウリングでストライクを出した高校生たちが興奮したことが原因で引き起こされたことが証明されて、そのために世界的にボウリングが禁止されている世界である。
 この世界でインターネットの自殺サイトで知り合った仲間が集団自殺決行のため待ち合わせるところから物語は始まり、そこに自殺願望の少女(奥田ワレタ)を救おうとする人(齋藤桂子)、殺人願望を持つ人(金沢涼恵)、ボウリング場を復活させようと企む兄妹(森下亮、重実百合)、彼らを利用してなにやら陰謀を企んでいるらしい女(山本景子)らが次々と現れる……と筋立てを説明するとこのようになるものの、筋立てはもはやこの舞台のなかではそれほど重要とはいえない。
 このような世界の設定はあくまで舞台の背景にとどまっていて、物語によってそうした主題に正面から切れ込んでいくようなところは今回は薄く、途中なんども繰り返される音楽にのせて、列を作って役者がぴょんぴょん飛び回りながら、舞台上を駆け巡るシーン(ないしシーンのつなぎ)やそれぞれのキャラを生かしたコント風の会話などに代表されるように内容よりものりとテンポを重視した演出で、ナンセンスで出鱈目な展開を強引に見せきってしまう力技に感心させられた。