谷川渥「美学の逆襲」

谷川渥「美学の逆襲」ちくま学芸文庫)を読了。
 最近、アート(もちろん、美術だけでなく現代演劇やコンテンポラリーダンスを含む)と「美」の関係について漠然と考え始めていて、そのことのヒントになるかと思って読んでみたのだが、ますます分からなくなってきたような(笑い)。デュシャンの「レディ・メイド」の登場によって現代美術がはじまったとすれば、現代美術はそれまでの絵画、彫刻のような制度的美術が持っていた「美の追求」を放擲したところからスタートした、と一応考えていたのだが、現代美術を見てまわって分かったのはどうも一概にそうでもないなということだ。「美学の逆襲」は著者によって書かれた美学についての著述をほぼ取り扱う対象の年代順に並べることで、「美学」というか、西洋思想によって取り扱われてきた「美についての思考」を概観しようと試みたもので、本の作りからして、前半はプラトンからはじまって、カント、ルソー、ラスキン、デュルケム、ベルクソンなどと続くから、そのあたりの著作をまったく読んではないというわけではないが、私などの門外漢にとってはどうにもとっつきにくいことこのうえない。
 「レヴィ=ストロースの芸術論をめぐって」で構造主義が登場してやっと普段考えていることに近くなってややほっとするのだが、面白かったのはグリーンバーグをめぐる論考であった。モダニズム芸術論を標榜するグリーンバーグにとって、デュシャンは躓きの石で彼の理論ではこれ以降のコンセプチャルなアートは受け付けることができなかったということの紹介。これが面白かった。