アンサンブル・ゾネ「Nebel Land -霧-」

 アンサンブル・ゾネ「Nebel Land -霧-」 神戸アートビレッジセンター)を観劇。
 岡登志子率いるカンパニーのひさびさの本公演である。作品、カンパニー(ダンサー)ともにクオリティーがきわめて高くこのまま海外のどのダンスフェスティバルに参加しても他の参加カンパニーと比べて遜色のないレベルの高さだと感じた。
 ダンサーということでいえば今回は岡自身が振付に専念して舞台に上がらなかったにもかかわらず2人の海外から招聘したダンサー(Fabio Pink、Delphine Gilde)をはじめ日本人ダンサーの動きの精度も高く、岡が舞台に上がらなくてもそれほど違和感がないようなところまで集団のクオリティーが上がってきており、これは関西のカンパニーとしては稀有の水準にあるということを改めて再確認させられた。特に岡と一緒に活動を続けてきた伊藤愛の充実ぶりは素晴らしく、いくつかのソロシーンなどではまさしく岡登志子の振付を体現できるダンサーに成長したと思わせるものがあった。また、当初はそのキャラクターからアクセント的に使われていた感もあった垣尾優もこの作品ではそういう違和感はほとんどなく、まさにアンサンブルの一員として踊っていながら、やはり、そこここではその独特のキャラの魅力を発揮していたことにも好感を持った。
 ただ、ここの場合、ここから先が問題なのだが、こういう作品を日本人が日本で創作するというのはどういうことなんだろうと考え始めてしまうとどうなんだろうと思ってしまうことも確かなのだ。岡登志子の振付のムーブメントには西洋特にそのコリオグラファー・ダンサーとしての基礎を学んだ*1ドイツの現代舞踊(ノイエタンツ)の匂いが濃厚に感じられるが、もちろん、それだけではなくて、この作品に関していえばムーブメント、構成などにおいて東洋的な「間」を大切にしていることもうかがえて、その意味では海外の観客にとっては「東洋的」な匂いを感じ取ることになると思うし、そこには日本人が作るダンスならではの色合いがないというわけではない。以前の作品では舞台は全体にモノトーンで照明が暗い中をダンサーが暗闇のなかに浮かび上がるような空間構成が多かったせいで美術的に墨絵などを連想させられたが、この作品では白い床とやはり白っぽい後ろの壁をダンサーがひとり登場して、少し踊っては左右のどちらかにはけていくというシーンが続くこともあって、ある種の前衛書道やアブストラクトの絵画のようなイメージを彷彿とさせるところがあった。
 

*1:ドイツフォルクヴァング芸術大学舞踊科出身