やなぎみわ「無垢な老女と無慈悲な少女の信じられない物語」@原美術館*5

やなぎみわ「無垢な老女と無慈悲な少女の信じられない物語」原美術館)を見る。
 個展のタイトル「無垢な老女と無慈悲な少女の信じられない物語」は、G・ガルシア=マルケスの「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」(ちくま文庫、「エレンディラ」)を下敷きにしているらしい。
 昨年から開始した「寓話」シリーズを中心とした展示。「エレベーターガール」や「My Grandmothers」などこれまでのCGで画像処理されたカラー写真によるプリントとはうって変わって、少女モデルに特殊メイクを施したり、仮面をかぶせたりして撮影したモノクロームの写真は摩訶不思議な世界。「白雪姫」「赤ずきん」「ランプツェル」などグリム童話に登場する少女と老女をモチーフにした連作だが、そのイメージはグロテスクで見る人をギョッとさせるようなところがある。
 ガルシア=マルケスに触発されて創作されたらしい映像作品「砂女」とそれを巡る連作(「無題」ほか)は映像を見る前に写真だけを見たところではそれがなにであるのかが、ピンと来ないところもあったのだが、メルヘンというにはどことなく不気味な一方でどことなく懐かしさも感じさせるものだ。
 ただ、この「寓話」シリーズはこれまでに見たやなぎみわの作品とは異なるテイストだということもあって、単純に面白いとはいいにくく、どうして、この作家がこういうコンセプトで新しい試みを開始したのかということについてはどことなく釈然とせずにとまどいを感じるところもあった。