「横浜トリエンナーレ2005 アートサーカス(日常からの跳躍)」

横浜トリエンナーレ2005 アートサーカス(日常からの跳躍)」(山下埠頭)を見る。

参加アーティスト
参加予定プロジェクト一覧/ 71プロジェクト・86作家

安部泰輔 (日本) / Taisuke Abe 
アルマ・キント (フィリピン) / Alma Quinto 
アトリエ・ヴァン・リースホウト (オランダ) / Atelier Van Lieshout 

リュレンツ・バルベー (スペイン) / Llorenç Barber 
ボートピープル・アソシエーション (日本) / BOAT PEOPLE Association 
ダニエル・ビュラン (フランス) / Daniel Buren 

ミゲル・カルデロン (メキシコ) / Miguel Calderón
ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー (カナダ) / Janet Cardiff & George Bures Miller
陳小雲/チェン・シャオユン (中国) / Chen Xiaoyun
陳箴/チェン・ゼン (中国) / Chen Zhen
COUMA (日本)
ディディエ・クールボ (フランス) / Didier Courbot
キュレーターマン (タイ) / ©uratorman Inc.


ルック・デルー (ベルギー) / Luc Deleu


エスタシオ (フランス) / L’estació
ビュラン・サーカス・エトカン (フランス) / BUREN CIRQUE cie ETOKAN


gansomaeda (日本)
ジャコブ・ゴーテル&ジャゾン・カラインドロス (ドイツ+ギリシャ) /Jakob Gautel & Jason Karaïndros
ショーン・グラッドウェル (オーストラリア) / Shaun Gladwell
インゴ・ギュンター (ドイツ) / Ingo Günther


アン・ハミルトン (アメリカ) / Ann Hamilton
カリン・ハンセン (ベルギー) / Karin Hanssen
ヘディ・ハリアント (インドネシア) / Hedi Hariyanto
堀尾貞治+現場芸術集団「空気」 (日本) / Sadaharu Horio + On-Site Art Squad《KUKI》


池水 慶一 (日本) / Keiichi Ikemizu
岩井成昭 (日本) / Shigeaki Iwai


メラ・ジャルスマ (インドネシア) / Mella Jaarsma
姜傑/ジャン・ジェ (中国) / Jiang Jie


キムスージャ (韓国) / Kimsooja
キム・ソラ (韓国) / Kim Sora
小金沢健人 (日本) / Takehito Koganezawa
KOSUGE 1-16+アトリエ・ワン+ヨココム (日本) / KOSUGE1-16 + Atelier Bow-Wow + YOKOCOM
黒田晃弘 (日本) / Akihiro Kuroda


トニーコ・レモス・アウアッド (ブラジル) / Tonico Lemos Auad
ロングマーチ (中国) / Long March


松井智惠 (日本) / Chie Matsui
桃谷恵理子 (日本) / Eriko Momotani
向井山朋子 (日本) / Tomoko Mukaiyama
イングリッド・ムワンギ (ケニヤ/ドイツ) / Ingrid Mwangi


奈良美智graf (日本) / Yoshitomo Nara + graf
ムタズ・ナスル (エジプト) / Moataz Nasr
西野達郎 (日本) / Tazro Niscino
野村誠 + 野村幸弘 (日本) / Makoto Nomura + Yukihiro Nomura


大榎淳+上屋番+みかんぐみ (日本) /Jun Oenoki+Warehouse Keepers+MIKAN
オン・ケンセン(フライング・サーカス・プロジェクト)(シンガポールカンボジア、マレーシア、ラオスインドネシアミャンマー) / Ong Keng Sen (The Flying Circus Project)
オープンサークル (インド) / Open Circle
ピュ〜ぴる (日本) / Pyuupiru
るさんちまん (日本) / ressentiment
ロビン・ロード (南アフリカ) / Robin Rhode
マリア・ローゼン (オランダ) / Maria Roosen

ミハエル・サイルストルファー (ドイツ) / Michael Sailstorfer
さわひらき (日本) / Hiraki Sawa
ティノ・セーガル (イギリス/ドイツ) / Tino Sehgal
身体表現サークル (日本)/ Shintai Hyougen circle
サイン・ウェーブ・オーケストラ (日本) / The SINE WAVE ORCHESTRA
ソイ・プロジェクト (タイ)
ベアト・ストロイリ (スイス) / Beat Streuli

高松次郎 (日本) / Jiro Takamatsu
高嶺格 (日本) / Tadasu Takamine
タニシK (日本) / Tanishi K
照屋勇賢 (日本) / Yuken Teruya
田添かおり (日本) / Kaori Tazoe

クレイグ・ウォルシュ (オーストラリア) / Craig Walsh
/ワン・テユ (台湾) / Wang Te-Yu
ナリ・ワード (ジャマイカ) / Nari Ward
リチャード・ウィルソン (イギリス) / Richard Wilson
ヴォルフガング・ヴィンター & べルトルト・ホルベルト (ドイツ) / Wolfgang Winter & Berthold Hörbelt
マーリア・ヴィルッカラ (フィンランド) / Maaria Wirkkala

屋代敏博 (日本) / Toshihiro Yashiro
姚瑞中/ヤオ・レイヅォン (台湾) / Yao Jui-Chung
米田知子+芦屋市立美術博物館+ボランティアグループ「とまと」 (日本) / Tomoko Yoneda + Ashiya City Museum of Art & History + Volunteer Group Tomato

 昼から5時過ぎまでたっぷり美術を堪能、といいたいところだが、人ごみの苦手な私は途中ですっかり疲れ果ててしまった横トリであった(笑い)。今年は関西からも何人か作家が選ばれていて、その中にはこうした大規模な美術展では常連といってもいい松井智恵、高嶺格などもいるが、おそらくこうした大規模展には初の参加であろうPLAYの池水慶一や具体出身の堀尾貞治といった異色のアーティストも含まれていて、それが世界のアーティストに囲まれてどのような展示をしているのかが個人的な注目であった。
 堀尾貞治は「アートサーカス」と題した今回の横トリの趣旨に一番合致したアーティストではないかと思った。会期中毎日会場に居続けて、2時から日替わりのパフォーマンス。その後、『百均絵画』の製作販売。面白かったのはこの日は休日とあって子供が多かったせいもあって、その子供たちが「きゃっきゃ、きゃっきゃ」と実に楽しそうに反応していたことだ。
 この日の日替わりパフォーマンスはナカニワにある大きな櫓の上で真っ白は巨大なゴム風船を膨らませていくというもので、風船を膨らませた後、それを持って降りてきて、周囲の人に風船を触らせたり、たたかせたりしていたんだけれど、そういう時になると子供たちがいっぱい集まってきて、大騒ぎの状態。外国人の人で小さな女の子を肩車して、風船に触らせていた男の人がいたのだけれど、お父さんの方がもういいだろうとそこから離れようとすると、女の子はもっと触っていたかったらしく、当然泣き出したりして、慌てて元の位置に戻ったりしていたのなどは微笑ましくて、思わず笑ってしまった。
 この人は66歳なんだから、相当の年ではあるのだけれど、このパフォーマンスなどを見ていると本人にも子供のようなところがあって、それが子供の心とシンクロしているんじゃないかと思ってしまったのだ。
 『百均絵画』というのは箱状のブースのようなところに小さな穴が開いていて、そこに百円を入れて、そこに提示されているいろんな絵画の番号をいうと中で堀尾氏が作品を作って、下の方にあいたスレッド状の穴から絵画が出てくるというもので、いわば絵画の自動販売機のようなものと考えればいいのだが、番号を知らされた後、なかで汗を流して作品をその場で作っているというシチュエーションを見えない外から想像すると思わず笑ってしまう。
 ここも行った時にはけっこう人が並んでいて。せっかくだから並んで買ったのだけれど、前の人がけっこうよさげなものを受け取っていたので「これは」と思っていると、自分の前に出てきたのは半分に切ったプレスチック製の使い捨てコップがビニールのテープのようなもので、紙に貼り付けてあるのもので(笑い)、本当に困りました。立体だから丸められないし、たためないし、どうすりゃいいのこれ(笑い)。
 ほかに面白かったのをいくつか挙げると
照屋勇賢 (日本) 紙袋の一部を切り抜いて、袋に印刷された模様をそのまま利用してミニチュアの樹木を袋の中に作るアート作品
米田知子+芦屋市立美術博物館+ボランティアグループ「とまと」 (日本)  阪神大震災の跡地を撮った写真と震災当時の記録の写真を組み合わせた展示なのだが、単に社会的なことだけではなく写真のクオリティーが高くてちゃんとしたアート作品になっていることとお祭り気分の今回の展覧会のなかでここだけが静謐な空間で異彩を放っていたこと
ピュ〜ぴる (日本)  銀紙で折った折鶴をタワー状にしたインスタレーション
野村誠 + 野村幸弘 (日本)  建設中のトリエンアーレ会場に野村誠が入り込んで、その場でしているいろんな音(金槌の音、ドリルの音、パネルを切るのこぎりの音など)に合わせて鍵盤ハーモニカで演奏するのを記録した映像作品
ムタズ・ナスル (エジプト)  昔撮られた映画の一場面と現代のカフェでそれと全く同じ台詞を若い女性が客に語りかける映像を同時に放映して、かつての問題が今も相変わらず解消されてないエジプトの現状を訴える映像インスタレーション
 それで最後にもうひとつ行く前から注目していた池水慶一の展示がどうだったのかというと……うーん、肩透かし。確かに巨大だし入り口にあるから目立つことは目立つのだが、ただの通路じゃないか、あれは(笑い)。あの通路を通って会場にはいったせいで、高松次郎を見損なったぞ。まあ、チェックしていなかった自分が悪いんだけれど(笑い)。
 一応、見終わって思ったのはこの展覧会はネット上でも(もちろん、それ以外でも)賛否両論のようだが、こういう言い方は卑怯なようだが、どちらの言い分も分かるという気がした。前回のトリエンナーレには行ってないので比較はできないが、規模が縮小しているということを除いても、今回の展示には作品の「もの」としての存在感が圧倒的といえるような作品はあまり見あたらなかったのではないかという気は確かにした。
 その一方で堀尾貞治に代表されるような現代美術とはなにかなど、まったく分からない子供でも十分に楽しめるような仕掛けにはことかかなくて、楽しめる展覧会であり、料金分は十分に元が取れるものであると思ったのも確かだったし、エンターテインメントとしての性格だけではなくて、いくつかの作品はアートを通じてそれに触れ合った人に「なにか」をたとえ少しの時間にすぎないにしても考えさせることになったのではないかとも思った。
 まあ、人のことはともかく、私自身はまだ咀嚼しかねているものも多いけれども、いろんなことを考えさせられる糸口になったという意味では貴重な体験だったと思う。本当に疲れたけれど。