中西信洋「Saturation」(今日の作家シリーズ45)

中西信洋「Saturation」(今日の作家シリーズ45)大阪府立現代美術センター)を見る。
 昨年(2005年2月26日(土)〜3月26日(土))ノマルエディション/プロジェクト・スペース CUBE & LOFTで開催された個展、中西信洋展 「-彫刻の単位-」もよかったのだけれど、検索してみるとこのサイトでは書き損なっていたみたい。今回もよかったのだが、書くのが遅れてしまったので、備忘録の意味もこめて、とりあえずここに書いておく。
 今回のメインは国際芸術センター青森のレジデンス事業にて制作した作品である。中西はこれまで液体に溶けて広がっていくお茶の葉や紙やフィルムの焼け跡、インクの染み、溶けていくアイスクリームなどを時間をずらして35ミリのポジフィルムに撮影し、それをそれぞれ24枚ずつ重ね合わせたものを白いライトテーブルに配置し、フィルムの下から光を当てて覗いてみるという「Layer Drawing」という連作を制作してきた*1が、今回の新作はそのコンセプトを延長して拡大した作品である。
 「Layer Drawing-Fog」と「Layer Drawing-Cloud」の2点があるが、前者は青森周辺の深い森を歩きながら見える風景を移動して撮影、後者は山頂にカメラを据え付けそこから見える雲の流れていく姿と山に沈んでいく夕日を一定時間の間隔で定点撮影したもので、そうして撮影された100枚の写真を1メートル四方の透明フィルムにプリントしたうえで、それを天井からドーナツ状につるしたものだ。
 1枚のフィルムは平面である写真を素材としたものではあるが、それが重ね合わされて展示されることで、透明な部分から1枚のフィルムを通して、複数のフィルムに写された画像が透けて見えて、全体としては立体の造形物のように見えるところがこの作品の面白いところだ。
 もっとも、今回の作品では2つの作品はひとつずつ異なるコンセプトを持つ。一定時間の間隔で定点撮影した「Layer Drawing-Cloud」では通常は運動という形で表現される時間の流れを空間として可視化して、真空パックのように閉じ込めたようにも見えるし、移動撮影の「Layer Drawing-Fog」の方はドーナツ状の展示物に沿って移動していくと、あたかも森がそこにあってそれを見る私たちもその深い森のなかに分け入ったかのような不思議な眩暈感覚に襲われる。

*1:今回もそれは別の展示室で展示されていた