ヨーロッパ企画「Windows5000」

ヨーロッパ企画「Windows5000」(in→dependent Theatre 2nd)を観劇。

 作・演出:上田誠
 美術:酒井善史、井上能之、大歳倫弘 照明:松谷將弘 音響:上田誠、井上能之
 舞台監督:水波流 映像:諏訪雅、大見康裕、山口淳太 演出助手:松田直樹
 文芸助手:松田暢子 運送:ステージアーツ 宣伝美術:坂井奈穂、丹原康博
 制作:井神拓也ほか 京都芸術センター制作支援事業 応援:ニッポン放送(東京)
 協賛:新日本空調株式会社 協力:リッジクリエイティブ株式会社
 企画・製作:ヨーロッパ企画

 ヨーロッパ企画の作品についてシチュエーションコメディを得意とするなどと以前から言われてきたことに妙な違和感を感じていたのだが、全然違うというのがこの作品を見てはっきりした気がした。いわゆる「演劇作品」とはまったく違う方向性で作品を作るというのがここのひとつの特徴で、「演劇」というのが手段にすぎないという点ではシベリア少女鉄道と双璧かもしれない。
 近未来。閉じられた空間の覗き見ができるソフトウエア「Windows5000」を駆使して、奇妙な集合住宅を覗き見する2人の男。その集合住宅の間取りがまた変なのだが、それを舞台上に実体としてビジュアル化させた舞台美術がまたまたユニーク。
 いったいどういう発想からこんな変なことを思いついたのか。舞台の終わった後、作演出の上田誠に確かめたところ、「パソコンOSのWindowsをはじめ、パソコン上で広がるウインドウを面白いと以前から考えていて、それを実際の住居の窓と考え合わせて、パソコンをクリックするとそこから窓の中が覗き込めるソフトのようなものがあったら面白いと考えたのが出発点だった」らしい。舞台上で展開される「Windows5000」という覗き見ソフトの実際のビジュアルはおそらく、Google earth*1から来たのではないかと想像されるけれど、「ロードランナーズ・ハイ」でのファミコンゲームといい、今回のパソコン上で動く仮想空間といい、芝居とは直接関係ない要素を見事に組み込んで、それを舞台として具現化してしまうところにこの集団の既存の演劇とはまったく違う発想がある。
 そこにはそういう奇想を考えだす上田という才人の存在はもちろん重要だが、ヨーロッパ企画の場合、基本的なアイデアは上田が考えるとしても舞台美術(酒井善史)、映像(諏訪雅)と役者も含めたメンバーの内部に技術スタッフもいて、そこで上田が出してきたアイデアを実際にどのように実現するかの話し合いが何度も行われ、そういうところで出てきたアイデアが今度はフィードバックされて上田の脚本にも取り入れられていく、という風に同時進行で美術・映像・脚本・演出が進行していくというのが集団としての強みであり、だからこそ、この複雑な仕掛けが満載された舞台が実現可能なのである。