トリのマーク「ルシル・ライン」

トリのマーク「ルシル・ライン」*1ザ・スズナリ)を見る。

トリのマーク(通称)「ルシル・ライン」
台詞・演出 山中正哉
出演 柳澤明子 櫻井拓見 原田優理子 丹保あずさ 西川健一郎 渋谷太樹 山中正哉


 昨年7月のやはりザ・スズナリ「ザディグ・カメラ」*2以来ひさびさに見るトリのマークの公演であった。トリのマークという一風変わった集団の特徴はその活動範囲を演劇の範疇だけにおさめて考えているとその全貌がとらえられないことであって、例えば少し昔の記事になるがここ*3に書いた独自のスタイルの野外劇。これなどはその行為を最終的に野外で舞台を上演するというその時点に限っていえば少し変わった演劇にすぎないが、トリのマークの場合はそこに至るまでの、この場合だったら、受け入れ先の荒川の子ども劇場のお母さんたちと協力して場所探しを開始する時点からすでにアートとしての作品であって、その意味では現代美術の世界でいうコミュニティアートに近いコンセプトを持っているのである。
 ここ最近、特にアサヒアートフェスティバルなどの現代美術系が中心ともいえるフェスティバルに参加するようになり、ワークショップや地元の人との協力によってリーディング作品を作ることなどが多くなり、その傾向はますますはっきりしてきた。以前から演劇のフィールドのなかだけでは認められにくいと考えていたので、こういう風に活動形態が変化してきたことはある意味喜ばしいことだと思っているのだが、その分、この集団のもうひとつの特徴である、作演出を務める山中正哉の世界観がはっきりと前面に出てくる作家性の部分はやや薄まってきている感があり、それがやや物足りないということもあった。