青年団「上野動物園再々々襲撃」

青年団上野動物園再々々襲撃」伊丹アイホール)を観劇。

 原作:金杉忠男 脚本・構成・演出:平田オリザ 舞台美術:杉山至×突貫屋
 舞台監督:寅川英司×突貫屋 照明:岩城保 衣裳:有賀千鶴 演出助手:工藤千夏
 宣伝イラスト:マタキサキコ 宣伝美術:太田裕子

 青年団上野動物園再々々襲撃」は2001年の初演作品の再演。初演の4年前に亡くなった金杉忠男への追悼として、金杉忠男アソシエーツ(中村座)のメンバーであった役者たちを客演に迎え、中村座時代に上演された金杉忠男作品「上野動物園再々々襲撃」へのオマージュもこめて上演された作品で、今回の再演でも退団した安部聡子(現在は地点所属)を除き、ほぼ初演キャストをそろえての公演となった。
 原作:金杉忠男のクレジットもあり、平田オリザらしくない作品との評判は初演の当時あったし、今回もそういう感想をネット上などでも見聞きするのだが、少しまどろっこしい表現になるが、再演を見ての印象は「平田オリザらしくないこともない」。それというのは平田は前衛的な手法が話題になって、持ち上げられてきたがそういう方法論が背景に退いても、メロドラマ的に情緒に訴える芝居を書かせてても実は技巧的にうまい劇作家でもあり、外部からベテラン俳優を迎えたこの作品ではそういう特徴がより分かりやすい形で発揮されたからだ。
 技巧的にうまいと書いたが、ひとつ実例を挙げればまず歌=音楽のつかい方のうまさである。劇伴音楽を使うこともほとんどなく、例えば昔のアングラ劇みたいに劇中で皆が歌いだすという場面もない平田の芝居を「音楽劇」と位置づける人はいないと思うが、実は平田が上演したこれまでの舞台を個々に思い出してみると、それぞれの芝居で物語上で非常に重要な鍵となる場面で巧妙に登場人物が口づさむ歌がキーとなっていることが多いことに気がつく。
 しかも、それは「北限の猿」「家宅か修羅か」「冒険王」のようなどちらかというと旧作に属する作品から「ソウル市民1919」、現在のところ最新作となっている「砂と兵隊」までそれこそ枚挙にいとまがないほどなのだ。
 この「上野動物園再々々襲撃」でも「月の砂漠」「とんとんともだち」が舞台上でなんども繰り返して歌われて、それはこの物語の主題でもあり、ムード(基調)を決める重要な要素となっている。(この項続く)