大西伸明展

大西伸明展(studioJ)を見る。
 大西伸明は日常の生活で見慣れたものをモチーフ(卵のパック、赤鉛筆、お椀、カニ、ステーキ用の肉、ガラスの破片など)とし、それらからシリコンで型取りした後、樹脂に置き換え彩色を施すことによって、一見、本物と見間違うモノをつくる。
 しかし、作られたモノは本物とに間違えるほど巧妙に作られていながら、目線を下げて横からみてみると彩色が横にはしてないための透明に見えたり、表面にどことなく違和感があったりして、明らかに「それは本物ではない」と分かる。
 この「本物そっくり/本物とは違う」という相反するベクトルの志向が1つのモノのなかに同時に体現されることで、アートにおけるリアルとはなになのかを見る側ののど元に突きつけるようにして、それぞれに考えさせるところに大西の作品の現代美術としてのコンセプトの面白さがある、と一応言うことはできるのだが、そういう小難しいことを言い出さなくても、見慣れたモノが半透明になっていたりするモノとしての不思議な質感こそが、これらの作品の魅力でもあって、これは写真などでは再現が難しく、一度実物を見てほしいというしかない。
 今回の個展でもっとも驚嘆させられたのは実物そっくりに描かれた国土地理院の北海道の地図のフェイク。遠くから見たら本物そっくりではあるけれど、色合いに塗りむらがあるから、これは地図をコピーした上から塗り絵で
本物の地図のように色をつけたのかなと思って、近くに寄ってみたら思わず唖然。印刷のように見えた地名部分も等高線も地図の下の部分に書かれている「国土地理院」の活字もすべて、大西が自分の手でこつこつと細部まで描いたもの*1だったからだ。

*1:だから、ジャンルとしては一応ドローイングと分類できるんだろうか