ジャブジャブサーキット「亡者からの手紙」

ジャブジャブサーキット「亡者からの手紙」(ウイングフィールド)を観劇。
 はせひろいちの新作となるジャブジャブサーキット「亡者からの手紙」は幻想的な作風で知られる異色のミステリ作家、日影丈吉の世界に挑戦。日影の短編を原作にしたオムニバス短編集である。取り上げられているのは「吉備津の釜」「王とのつきあい」「飾燈」「夜の演技」の4編。これまでもはせはオリジナル脚本においても代表作である「非常怪談」をはじめ、ミステリ的な趣向が強い作品を創作してきたが、そのはせがあえて日影丈吉に挑んだというところが興味深かった。
 日影丈吉の作品はいくつか読んだことがあるはずだが、この日上演された短編は未読である。短編集だと同工異曲になりかねないところをミステリあるいは物語の趣向としても、それを演劇化した時の面白さにしてもそれぞれ異なる4編を選んだ構成がなかなかうまいと思われた。
 「吉備津の釜」はなんどか映像化されたこともあるようで、日影作品としては知名度の高い作品のようだが、私は見ていてちょっとした勘違いをしていた。この「吉備津の釜」というのは同じ表題の作品で上田秋成の「雨月物語」が有名で、そのためうっかり、この物語は日影が「雨月」のモチーフを元にそれを擬古典風の怪談劇に仕立てあげたものと考えていたのだが、これはまったくの誤解。「雨月物語」の方の「吉備津の釜」の方は京極夏彦が短編でとりあげたことでも知られる「鳴釜の神事」にまつわる怪異譚で物語としてはまったくの別物であった*1
 

*1:生兵法は怪我の元である