DANCE CIRCUS35(1日目)

DANCE CIRCUS35(1日目)(アートシアターdB)を観劇。

中川洋子『 YUME II afterwards 』 振付・構成・出演:中川洋子 パーカッション他:河村守
吉元妙子『 スタボン〜stubborn〜 』 出演・音楽・振付:吉元妙子
ラブドクロアート『SPEEDBOY!』 演出:藤山悟志 原作:舞城王太郎 出演:羽賀孝行、長谷川将
南弓子『みみの国のミ』 構成・演出・振付・出演:南弓子 衣装:藤安智  
BeeElephant『カラから』作:ゆいまお 出演:友廣満・由井麻央

 玉石混交の感があるのが、アートシアターdBの公募ダンス企画「DANCE CIRCUS」の特徴だが、この回は全体的にはかなり厳しい。正直言って、ちゃんとした作品として批評の俎上に乗せることができるのは南弓子『みみの国のミ』ぐらいか。彼女の作品は以前にも何度かDANCE CIRCUSで見たことがあったのが、今回初めて彼女のよさを見せることができた作品となったと思った。最初の方で背を向けたまま後ろ向きで座り、この時、両腕を背中の方で少し組むようにするのだが、その時の背中の衣装が照明の加減か人の顔のようにも見えて、それが腕を少し揺らすように小刻みに動かすことで表情を変えるようで、そこが面白かった。
 その後、片足を水平方向に伸ばしたまま床を這って回るような動きをするのだが、ここのところも舞踏的な身体性はありながら、動き的には舞踏ではないものになっていて、面白いところがあった。惜しむらくは動きのバリエーションが不足していることで、そのため後半は少し単調になってしまう。ただ、この作品では彼女なりのダンサーとしての個性とそれを用いて体現しようという世界の色のようなものはよく出ていたと思う。彼女の場合、女性ダンサーとしてはスリムで身長もそこそこあって、容姿にもちょっと独特なキュートな持ち味があり、それで今までも気にはなっていたのだが、それまで見た公演ではそうした本来持っていた魅力を発揮しきれないきらいがあり、そこのところがもどかしかった。それが今回の作品ではちょっと吹っ切れた感があり、その部分では期待感がより膨らんだのだが、残念ながらまだ全体に大人しい印象は否めず、もう少しはじけたところが舞台で出てくれば、オオバケしそうなところはあるので、そのあたりをどうクリアしていくかが今後の課題であろう。
 BeeElephant『カラから』はダンス以前の問題。実力はそれなりにあるひとたちだと思うのだが、いかんせん照明が暗すぎてシルエットしか見えないところが多いので、ダンスのディティールが全然分からなくて見ていていらいらしてきた。こういうほとんど見えない暗い照明やこれは違うけれど暗闇にスポットをあててそこから出たり入ったりする照明。コンテンポラリーダンスではよく見かけるのだけれど、いい加減勘弁してほしいと思う。自分たちがなにを見せたいのかということを全然考えていない証拠としか私には思えないのだ。
 残りの3作品は残念ながらダンスで作品をつくるということがどういうことかまだ分かっていないレベルの作品と思われた。ラブドクロアート『SPEEDBOY!』は普段は本拠を埼玉県に置き、東京を中心に活動している演劇系プロデュースユニットの作品で、参加してきた意欲は買いたいが、2人のパフォーマー舞城王太郎の作品を朗読しながら、それに動きをつけて踊るというもの。ただ、構成があまりに平板で、意図的なものとは思えない演出的なだらしなさやムーブメントもあてぶりのようなところが多く、ダンスとはいいがたいし、演劇ないしパフォーマンスと考えても稚拙さが目立った。舞城王太郎を言語テキストに選んだのは面白いと思ってきたのだが、肩透かし。技術うんねんのことを言っても、仕方がないが舞城をやるならば暴力的な部分が出てこないと意味がないのではないだろうか。
 中川洋子『YUME II afterwards 』はアートシアターdBでは珍しい映像を使った作品で、舞台の背景いっぱいに水面の映像が映った冒頭期待させたのだが、パフォーマーは黒いビニール袋をかぶってあまり動かずそこからたまに顔だけをだすのだが、ダンス作品といいがたいのは確か。私にはうまくいかなかった美術系パフォーマンスに見えたが本当はなにをやりたかったのだろうか。吉元妙子『 スタボン〜stubborn〜 』は逆にある程度は踊れるダンサーが初めて作品を作った時にありがちだが、稽古場で動いた動きをつなげただけでは作品にはならないの典型例だった。