李相日監督「フラガール」 @シネ・リーブル梅田

監督/李相日
出演/松雪泰子/豊川悦司/蒼井優/山崎静代/岸部一徳/富司純子

STORY
 昭和40年、福島県いわき市の炭鉱町。「求む、ハワイアンダンサー」の貼り紙を見せながらここから抜け出す最初で最後のチャンスだと、 早苗は紀美子を誘う。今や石炭から石油へとエネルギー革命が押し寄せ、閉山が相次いでいる。この危機を救うために炭鉱会社が構想したのが、レジャー施設“常磐ハワイアンセンター”だった。 紀美子と早苗はフラダンサーの説明会に出かけるが、ほかの娘たちは、逃げ出してしまう。残ったのは、紀美子と早苗、それに会社の庶務係で子持ちの初子、そして父親に連れてこられた一際大柄な女の子、小百合だけだった。

李相日監督「フラガール*1(シネ・リーブル梅田)を観劇。
 映画の方向性としてはまったく異なるのだけれど、日本が生み出したダンス映画としては周防正行の「Shall We ダンス?」以来の傑作ではないだろうか。出演している俳優たちがライブで演じるパフォーマンス場面をクライマックス場面に持ってきている映画というのはひとつの流れでもあって前述の「Shall We ダンス?」はもちろんのこと「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」「リンダリンダリンダ」と挙げればけっこうあるなあという感じなのだが、これは舞台が昭和40年代で衰退する炭鉱町の乾坤一擲の町興しとして「ハワイアンリゾート」を建設するという嘘のような話なのだが、これは実は「常磐ハワイアンセンター」という実際にある施設の設立にまつわる実話で、そえゆえ、背景のディティールなどがよく書き込まれていて、単なる夢物語ではなくて、「フル・モンティ」のような英国の映画 を思わせるようなビターな味付けにもなっているところがいい。こういう事実を掘り起こして映画化しようと思った企画の勝利じゃないかと思う。
 ただ、なんといってもダンス映画としてのこの映画の魅力を支えているのはダンス場面の説得力である。なかでもラスト近くの蒼井優が踊るソロダンスの迫力は圧倒的。ダンサー・女優としての旬の輝きに溢れていて、この場面を見るだけでも、この映画を見た価値があったと思わせた。この子は「花とアリス」のオーディションシーンでのポワントの代わりに紙コップをつま先につけて踊ったバレエの場面でも鮮烈な印象を残した。女優としてももちろん魅力的なのだが、こういう踊る役をもっとどんどんやってほしいと思った。
 ダンス教師役の松雪泰子がスタジオで踊る場面もきわめて印象的。この場面は短いけれど非常に重要な場面。というのはここで踊られる同じ振り付けが映画の後半にやはり同じ場所で母親の前で蒼井優が踊る振り付けと同じもので、そしてこれが最後の最後に蒼井が踊るソロの振り付けとやはり同じ。この映画ではこの同じ振り付けが3度繰り返されることで、「憧れの対象」としてのダンスが師から教え子に受け継がれ、そしてそれが蒼井演じる若いダンサーのダンサーとして、そして人間としての成長とそのまま重なり合うことで、師から弟子にそしてそのまた弟子へと受け継がれてきた「フラ」というダンスの本質を象徴するものとして描かれたいるように思われたからだ。
 そのほか豊川悦司岸部一徳富司純子と脇役の演技がまたいい。フラガールズの一員として出演している南海キャンディーズしずちゃん、こと山崎静代も素朴な感じをうまくだして、とてもよくてこれは新人女優賞有力候補じゃないだろうか。個人的には大人計画池津祥子ナイロン100℃三宅弘城の熱演ぶりも嬉しかった。
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