青年団「ソウル市民」三部作連続上演@吉祥寺シアター

青年団「ソウル市民」三部作連続上演(吉祥寺シアター)を観劇。
 詳しいレビューは時間がある時に書く予定。ここではそのためのシノプシスの意味も込めて、ショートレビューをまず掲載する。
平田オリザによる「ソウル市民」三部作は非常に興味深い舞台であった。この3部作はそれぞれが独立した作品でありながら、あきらかに同一の形式(最後に明らかに不条理なことが起こって終わることなど)が変奏を加えながら反復されるという特異な構造を持っている。そして、その形式性がちょうどクラシック音楽における交響楽がそうであるようにそれぞれ独立した音楽としてのまとまりをそれぞれの楽章が持っているのにその形式がひとつのかたまりとしての一体感を与えるというような構造を持つ、ここにこの三部作の大きな特徴があった。
 平田オリザの舞台の多くは過去あるいは未来のどこかの瞬間のうちのその対象がもっともビビッドに切り取れる象徴的な1時間強をリアルタイム(つまり実上演時間とその出来事が起こった時間にずれがない)によって提示するという構造を持っていて、それは歴史の流れのような通時的なものではなく、歴史から見れば瞬間にすぎないその1時間を輪切りにすることで、その対象の事物の共時的な構造を拾い上げることにある。
 ところがこの3部作をひとつの作品という風に考えると、それぞれ10年の時をへだてた3つの時を併置することで、従来の平田の方法論ではすくい取ることが難しかった歴史の流れのような通時的な時間を舞台上で提示することが可能となり、その新たな枠組みによって、平田が以前からライフワークとして取り組んできた、朝鮮半島における日帝36年とはなんだったのかという謎に迫る刺激的な試みであった。
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