エジンバラから帰国

 そういうわけでエジンバラから無事帰国してきています。今回の観劇は演劇・ダンスを合わせて24本、このほかに美術館・ギャラリー巡りもやってきました。昨年同様現地の模様はレポートとして掲載していくつもりですが、少し時間がかかるかも。

灯台 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

灯台 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)

十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)

クイーン検察局 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 2-11))

クイーン検察局 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 2-11))

 上に書いたのは今回の旅行中に持っていって読んでいた本。クイーンの2冊はもちろん何度目かの再読なのだが。昔読んだときには国名シリーズの後すぐに読んで、クイーン=挑戦状付きの本格ミステリのイメージにとらわれすぎていたせいで、なんでこんな風な作品を書いたのかがピンとこないところがあったのだが、今改めて読み直してみると「盤面の敵」などと並びもっともクイーンのクイーンらしさ、すなわちオリジナリティーが発揮された作品が「十日間の不思議」だということがよく分かり面白い。さらにいえばこの作品の解説を鮎川哲也が書いていて、描写の一部をアンフェアだと書いているのだが、これはクイーン=犯人あての大きな勘違いの好例。だって、このネタで犯人あては無理だろう(笑い)。
 それほどにクイーンが初期作品に挿入した「読者への挑戦状」という仕掛けは読者に対する訴求力が強かった、ということがいえるかもしれない。特に日本では国名シリーズの人気が高いこともあってか、本来その構成から言ってどう考えても国名シリーズには入りそうもない「THE DOOR BETWEEN」が「ニッポン樫鳥の謎」などと訳されて無理やり国名シリーズに入れられてしまっている。「あやつり」の主題(モチーフ)もすでにこの「ニッポン樫鳥の謎」に登場するわけだが、それがより明確な形で作品に結実してきたのが、「十日間の不思議」に代表される後期以降の作品ということになるかもしれない。
 主題としての「あやつり」もそうだがよりクイーンという作家の本質にかかわるのが「見立て」の主題である。実はここではまず「見立て」という風に書いたが、より厳密に言えばそれは「見立ての論理」すなわちアブダクションなのではないかということである。