ヨーロッパ企画「火星の倉庫」@京都府立文化芸術会館

ヨーロッパ企画「火星の倉庫」京都府立文化芸術会館)を観劇。

 作・演出:上田誠
 美術 :長田佳代子 照明 :松谷將弘(ART COMPLEX)
 音響:宮田充規(GEKKEN staff room) 衣装:山崎唯
 舞台監督 :大鹿展明×筒井昭善 演出部:中川有子(WATAR22-39)
 演出助手:松田直樹 文芸助手:松田暢子、大歳倫弘 宣伝美術:井上能之
 宣伝写真:成田直茂 制作:井神拓也、諏訪雅、本多力、吉田和睦、吉永祐子
 京都芸術センター制作支援事業 共催 : [東京公演]ニッポン放送
 主催 :[福岡公演]イムズ、テレビ西日本、ピクニック、ヨーロッパ企画
 企画・製作 :ヨーロッパ企画、株式会社オポス

 今年はバック・トゥ・2000シリーズ!などと称して、過去作品の再演の続いたヨーロッパ企画のほぼ1年ぶりの新作。「悲劇喜劇」2007年8月号の特集企画「気になる演劇人」に「ゲーム感覚で世界を構築 ―シベリア少女鉄道ヨーロッパ企画―」*1という小論を執筆。その最後にこんな結語めいた文章を書いてその論を締めくくった。

欧米のリアリズム演劇に起源を持つ現代演劇においてはアウトサイダーと見える彼らの発想だが、日本においてこうした発想は実は珍しくないのではないか。鶴屋南北らケレンを得意とした歌舞伎の座付き作者は似たような発想で劇作したんじゃないだろうかということだ。舞台のための仕掛けづくりも彼らがこだわり、もっとも得意としたところでもあった。その意味ではこの二人は異端に見えて意外と日本演劇の伝統には忠実なのかもしれない。

 「火星の倉庫」などという表題だから本当に火星にある倉庫を舞台にした純粋SFタッチの物語なんだろうかと予想して見始めたのだけれどその予想はすぐに裏切られた。コンテナが山ほど詰まれた港が舞台。そこで働いている港湾労働者の男たち仕事をさぼって港湾労働者、近くのバーの女、その妹の大学生、麻薬取引をもくろむ組織の男たち、組織の秘密をもらしドラム缶にコンクリ詰めされて海に落とされそうになっている男、その始末に呼ばれる落とし屋ビリー……。
 一昔前の日活アクション映画のパロディのような道具立てで物語は進行していく。「どこが『火星の倉庫』なんだ」と思って怪訝に思ってみているが、ある意味デフォルメはされてはいても、ぐだぐだとああでもないこうでもないとくだらない会話を続ける男たちの姿は非常に日常的な風景に見えるが、ここが実は地球温暖化が進んだ近未来の地球であるということが男たちの会話の端々から分かってくるのだ。
 舞台上には実際に舞台を埋め尽くすかのようにコンテナが積まれていて、その場所を次々と移動させたり、組み替えたり、役者がその中や陰に隠れたり、コンテナの上に上ったりと舞台の広い空間を自由自在に活用した演出は少し「Windows5000」(2005年)を彷彿とさせるようなところもあって面白い。