ジャブジャブサーキット「裸の劇場」@S-pace

ジャブジャブサーキット「裸の劇場」(S-pace)を観劇。

 リーズナブルシアターシリーズ/ACT1
 アトリエS-pace 1周年企画参加公演
   『裸の劇場』  作・演出:はせひろいち


 出演  咲田とばこ 高坂いつみ・演出家 武神役
     荘加真美  楡原時子・照明家 柏森役 
     土居辰男  湊春彦 劇場支配人
     小山広明  石川茂男・照明助手 山田役 
     中杉真弓  矢倉和美・元役者 容子役 女1役
     鳥岡寿江
     岡浩之   三枝浩二・舞台監督 下里役 
     くまのてつこ  
     鈴木愛子
     かとう雅敏(劇座) 堂本卓・松永役 男役


   かつては数々の有名劇団を育て、伝統的な舞台を提供し続けた
  小劇場文化のメッカ「スペースS」も今では老朽化が進み
  利用率も減少の一途、ついに1ヶ月後に取り壊される事が決定した。
  そんな折、残務処理に追われる雇われ支配人の元へ、一人の女性が訪れる。
  2日間だけこの空間を貸してくれないかと言う、それも平日のみ。
  最初は警戒する支配人だが、彼女の熱意と提示した料金により
  とりあえず承諾したのだった。そしてその仕込み当日。
  舞台は何の変哲もない、いわゆる「素舞台」から始まる。
  1台の小さなトラックが劇場傍に横付けされ
  一見何のためか判らない様々なモノが運び込まれる。
  場当たり稽古を装っていきなり始まる「劇中劇」や
  スタッフ兼役者達のありきたりな会話から
  やがてこの劇場でかつて起きた「とある事件」が浮き彫りになっていくのだが・・・。

 最初にジャブジャブサーキットという劇団の舞台を見たのは1993年の「さよなら三角’94」(こまばアゴラ劇場)なのだからずいぶん長くこの劇団とも付き合ってきたわけだが、年に2回程度の劇団本公演という制約のなかでもほとんどの作品を見てきたなかで今回の舞台「裸の劇場」の初演(2003年、ウィングフィールド)を見逃したのは痛恨の出来事であった。この「裸の劇場」は元々はこの集団が大阪公演の常打ち小屋としてきたウイングフィールドにあてがきした芝居で、その後も名古屋のナビロフトや東京のシアターグリーンで再演したことがあったにもかかわらず、折悪しくスケジュールが合わずに一度も見ることができず、今回やっと見ることができたのはある意味念願がかなった感があった。
 この作品は群像会話劇であり謎解きのミステリ劇であり、幻想劇であり、メタシアターであり、バックステージものであり……とはせひろいちのこれまでつちかってきた作劇のノウハウをそれこそ一度に全部ぶりこんだのじゃないかと思うほど集大成な感じがある。それゆえそこから観客はいろんな楽しみ方ができるわけなのだが、この「裸の劇場」の一番の特徴は元々ウイングフィールドという特定の劇場を想定してあてがきした「見立ての演劇」であったことにある。そういうこともあってこれまでも再演のたびにそれが上演される劇場それぞれの実情に合わせて改定がなされてきたということだが、今回もS-paceというこの日上演された劇場に合わせ脚本の改定と新たな演出プランに基づく上演となっている。