大西伸明展 「―無明の輪郭―」@INAXギャラリー*2

京橋のINAXギャラリーで行われている関西在住の現代美術作家、大西伸明の個展である。INAXギャラリーのサイトでの説明によれば東京での初個展ということらしい。会期は後、一週間しかないけれど、もし暇があったらぜひ一度足を運んでみてほしい。お薦め★★★★である。
 私自身が関西に住んでいる僻目もあるかもしれないが、このところ現代美術の世界では関西の大学ないし関西出身の若手の充実ぶりが目立つ気がする。昨年末東京で見た六本木クロッシングでもすでに東京でも知名度がかなり高い名和晃平はもちろんだが、それに続く作家として中西信洋の展示は数多くの出展作品のなかでもひときわ目を引くものと感じられた。名和、中西らと比べると知名度ではまだ劣るけれど、この世代の関西若手作家のなかでいまもっとも注目している人のひとりがこの大西伸明なのである。
 この人の作品は以前にも書いた*1けれど、日常の生活で見慣れたものをモチーフとし、それらからシリコンで型取りした後、樹脂に置き換え彩色を施すことによって、一見、本物と見間違うモノをつくる。しかし、作られたモノは本物とに間違えるほど巧妙に作られていながら、目線を下げて横からみてみると彩色が横にはしてないための透明に見えたり、表面にどことなく違和感があったりして、明らかに「それは本物ではない」と分かる。そのモチーフとしたものも以前は卵のパック、赤鉛筆、お椀、カニ、ステーキ用の肉、ガラスの破片などといった比較的小さいものが中心であったのだが、最近は今回の展覧会に出したドラム缶、傘や木の椅子、脚立、ロープ、木の枝というか幹、といったかなり大きいものをそのまま型取りしていて、より一層見栄えがするものになっている。といっても、あまりに本物そっくりなのでちょっと見や写真だけでは見分けがつかずにそのまま過ぎてしまいそう。木の椅子などもし、他の人の展示物の近くにこの作品が置かれていたら、絶対にただの椅子だと勘違いしてこれに座る人が続出しそうだ。今回の展示でもっとも面白いと思ったのはドラム缶の作品。少し離れてみたら質感さえも本物のドラム缶としか思えないほど、そっくりそのままシュミレーションがなされているのだが、実は上部の部分が半透明になっていて、ここが透けて中身が見えているのだ。
 見かけ上はデュシャンのレディメードなどと近いものが感じられるのだけれど、実際にはひとつづつおそらく相当な時間をかけて手作りで作っている。このコンセプトと職人の匠が微妙に混在しているところがいいとおもうのである。