維新派「聖・家族」・公開リハーサル@精華小劇場

維新派「聖・家族」・公開リハーサル(精華小劇場)を観劇。
 日曜日夜に本番を見る予定だが、その前にどんな風に仕上がっているかを見たくて公開リハーサルに出掛けた。今回の公演は1本の芝居ではなくて、過去の公演の場面の抜粋や新作パフォーマンスをちょうどバレエ・オペラでいうガラ公演風にまとめたものだ。だから、作品としての出来栄えをうんぬんされると困る部分があるのだが、普段は野外や大ホールでの公演が多い維新派の舞台をこんなに至近距離で見られるというのは滅多にない機会で、それだけにこれはなんと贅沢な経験だろうかと思ってしまったからだ。
 せっかくなので少しだけ内容にも触れるが、冒頭は「アパッチ」。「青空」という作品の冒頭に近い場面、登場する少年たちが大阪砲兵工廠跡地の襲撃を計画し実際にそれを実行するようすが語られる。この場面にはヂャンギャン☆オペラのスタイルで単語的な断片フレーズを群唱するだけではなく、ちゃんと会話的な台詞もあり、当時の作風はかなり演劇的なものであったことが窺える。実はその後に今回の新作である「呼吸機械」という場面が続くのだが、こちらはこれだけ単独で見せられればダンスと言わざるを得ないような群舞であり、音楽に合わせて皆で足を踏み鳴らす維新派版タップダンスのような足音と動きながらパフォーマーが発する息づかい、呼吸の音を身体の動きとともにあたかも音楽のように聞かせるというもので、私が最近の数作品にあたって「動きのオペラ」と呼んできた作品の進化形である。この2つの場面は連続して見るとあまりに対照的なだけに維新派特有とされるヂャンギャン☆オペラという特異な表現スタイルのなかにも意外と大きな広がりがあることに気がつき驚かされるのである。
 新作については当初、秋の野外での新作の一部分を上演のような話もあったが、これはどうだろうか。「nostalgia」から続くことになる三部作は「<彼>と旅する20世紀三部作」の副題のように時間的にも空間的にも壮大な広がりを感じさせるスペクタクルになるはずなのだが、今回の新作は打って変わって、維新派のこれまでにはなかった室内劇的な空間を表現したもので、その意味では「これもこれまでになかった維新派の新しい展開になりそうで面白いのではないか」と思ったのだが、それは逆に言えばこれらのシーンはこのままでは秋の新作の一部にはなりそうにないな、とも思ったからであった。
 いずれにせよこの公演は維新派の今までのイメージとも少し違った面も見られるので、必見である。