維新派「聖・家族」@栗東芸術文化会館さきら

維新派「聖・家族」栗東芸術文化会館さきら)を観劇。

岩村吉純 石本由美 大形梨恵 藤木太郎 平野 舞 辻本真樹 坊野康之 エレコ中西 土江田賀代 森正吏 稲垣里花 まろ 木戸洋志 江口佳子 田口裕子 西塚拓志 中麻里子 金子紗里 金子仁司 尾立亜実 近森絵令 境野香穂里 吉本博子 大石美子 石橋秀美
作:演出 松本雄吉
音楽 内橋和久
舞台監督 大田和司
舞台美術 柴田隆弘
照明 吉本有輝子
音響 佐藤武
写真 福永幸治(スタジオ・エポック)
宣伝美術 東學(188)
制作 山恕W佳奈子・清水翼
制作協力 高岡茂・小堀純

「アパッチ」  5拍子(1994「青空」より)
「呼吸機械」  7拍子(新作)
「なつまつり」 4拍子(1994「青空」より)
「ヒトカタ」  7拍子(1999「麦藁少年」より)
「くくらがり」 4拍子(1991「少年街」より)
「あらたらやま」4拍子(新作)
「家族の食卓1」7拍子(新作)
「家族の食卓2」7拍子(新作)
「6時まで」  7拍子(新作)
「ながい旅」  4拍子(新作)

維新派は以前の祝祭色の強い野外劇から変わりつつあるという風に書きながらも、それでも例え劇場公演だとしても維新派=大規模な舞台の印象がまだまだ強かったが、今回小劇場での維新派を見てみて、目から鱗というか新たな発見。今回は秋の野外公演に向けてのプレ公演という位置づけではあるが、小劇場の維新派には小劇場でなければ出せない魅力があり、これは今後に向けてこれまでとは少し違う新展開のヒントになりうるのではないかと思ったのである。

 野外あるいは大劇場の公演との大きな違いは群舞などの集団演技において個々のパフォーマーの顔がよく見え、それぞれの個性の違いなどがはっきりと分かることである。また、例えば「呼吸機械」でのパフォーマーの発する息遣いや足音などが大劇場などではマイクで音を拾ってPAを通さざるえなかったものが、直接舞台上の音が客席に聴こえるというのも大きな違いである。
 今回上演された舞台(300−400席程度の劇場)にこれだけ大人数のパフォーマーが出演してそれを生で見るということにも普通の演劇にはないような臨場感溢れた迫力があるし、マイクで拾ったりした場合は単なる群唱としてしか聴こえないのが、この台詞は誰がどこで発したいうことが客席にいても特定できることで、維新派の舞台に今まで以上の立体的な「もの」として迫ってくる印象を受けた。
 特にそれが顕著に感じられたのは「家族の食卓」と題されたシーンである。ここでは舞台上に正面奥、下手上手手前と3つのパフォーミングエリアが設定されて、そこにはそれぞれ役者が配置されていて、それが交互にスポットが当たり、進行していくのだが、全体としてのマクロなイメージに加えて、それぞれのエリアで細かな芝居が展開されるというような作りになっている。これまでの維新派に比べるとすごく細かい芝居を役者に要求している。なかでも「家族の食卓2」の舞台下手のなぜだか食卓に置かれた赤いハイヒールを目の前に困ったような表情で会話を続ける2人組などはコミカルで諧謔味に溢れていて、思わず笑いをさそってしまいような感覚があるのだが、こういうのもこれまでの維新派にはあまりなかったことで、これは明らかに舞台の大きさと表現される内容による「小劇場」ならではの表現ではないかと思ったのである。