ババロワーズ「KICK」@in→dependent theatre 2nd

ババロワーズ「KICK(in→dependent theatre 2nd)を観劇。

[出演・劇作・脚本・演出]高瀬和彦
[出演]向田倫子 / 高橋恵美子 / 平中功治 / 藤原タケシ / 宮脇玲香 / 長滝安希 / さかいしんご / 上田蜜柑 / 川村伸彦 / 岩本由佳理 / 宇仁菅綾 / 木下なると 他


 ババロワーズの観劇はこれで二回目*1。今回改めて見て女優に美人あるいは可愛い人が多いかなと気が付いた(笑い)のだが、前回の「ピーーース!!!」 公演でそれに気が付かなかったのは美人だという以上に強烈な個性でキャラ立ちしている人が多いことで、これがこの集団の最大の強みであろうか。前回公演の感想*2で元上海太郎舞踊公司の宮脇玲香に誘われて見に行ったら、元いるかHotelの宇仁菅綾が出ていてビックリしたと書いたのだけれど、今回来てみたらいつのまにか劇団員になっていてまた驚いた。
CSでTVショッピングの番組を担当する男。付き合っている彼女(宮脇玲香)となんだかしっくりこなくなってきているうえに仕事もあまりうまくいっていない。当たる商品を探してこいと上司である女性(宇仁菅綾)に言われて街に飛び出し、そこで偶然、SM女王さま志望の女の子(岩本由佳理)に出会う。
 一方、人気のロックバンド少年マチルダのボーカルだったマチルダ(向田倫子)。バンドメンバーである女の子じゅんじゅんとは幼馴染でラブラブの関係。男の子のふりをしていたけれど、実は私は女の子、しかも同性愛者だったとカムアウトしてバンドは解散。彼女のタレントとしての個人マネジャーとなったじゅんじゅんは地上波テレビ局のディレクターと組んで、マチルダがSM女王さま養成学校に入学するというキワモノ企画を進めようとするが、マチルダは気が進まない。一方、CS局の男は彼のことを気の毒に思って上司が差し向けた化粧品会社の女社長を追い払い、自棄になって売り出したSM女王さまの鞭が突然の大ヒット。ちょうど、番組放映まえに地上波でマチルダが出演したSM女王入門の番組が話題となってその人気に便乗したからだ……。
 ストーリーを書いていて思わずむなしくなってくるのは別にこの芝居は物語が面白いというわけではないからだ。物語は俳優たちがここのキャラクターを魅力的に発揮するための人物が登場するための受け皿にすぎない。いや俳優が面白いというわけではないのかもしれない。SM女王育成学校の先生といい、その弟子のマゾ男といい、あるいはマチルダもじゅんじゅんもSM嬢志望の女の子も芝居の登場人物というよりはギャグ漫画のキャラクターのようにデフォルメされたもので、相当に変でおかしいので、そのキャラたちが立体化して台詞を言い、動き回るだけでも可笑しくて思わず笑ってしまうのだが、こういうキャラ立ちする個性というのはもちろん俳優が演じているのではあるが、作演出の高瀬和彦の頭にだけあったもので、元々その俳優が持っているキャラクターがそうだというわけではない。それは例えば以前の劇団にいて今回とは違う傾向の演技もしていた宮脇や宇仁菅の演技を見ているとよく分かる。ただ、面白いのはその出来上がったキャラが本人の資質を反映していないかとうとそうでもなくて、少しだけあるような要素を一部だけ極端に肥大化させるようなことをして、登場人物のキャラは作られている。漫画だったら、赤塚不二夫にしても、高橋留美子にしてもキャラクターは白紙から作れるようなものだが、実は人気漫画には持ちキャラのようなパターンがあり、それが新しい作品にも反映されているのじゃないかと思うのだが、どうも似たような作業を高瀬は俳優である劇団員たちを使ってやっているんじゃないかと思った。
 ここまで書いてきて分かってきたのだが、ババロワーズの芝居のテースト、どうもどこかで見たことがあると思っていて、演劇では思い当たらなかったのでどうなんだろうと思っていたら、少し以前の、つまり「うる星やつら」「めぞん一刻」のころの高橋留美子に似ているんじゃないだろうか。そう考えたら、「うる星やつら」「めぞん一刻」の舞台版、いまの劇団員を当てはめていってもできそうだよな。なんといっても女優陣がいろいろそろってるのが武器だしね。キャラ登場という意味ではすでにクロムモリブデンがやってしまったけれど(笑い)。

*1:一応念のために断っておくとやはり高瀬和彦が作演出を務めていた劇団プラトニックファミリィ時代と直近のババロワ時代には見たことがあるが、問題はどこからどう変わったのかがはっきりとは分からないことだ。コントからストーリーのある芝居に変わったということらしいが、要するに同じじゃないかというのがあるからだ(笑い)

*2:http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/20071206