弘前劇場若手公演2008「臭う女」@山田百次作・演出

弘前劇場若手公演2008「臭う女」(山田百次作・演出)を観る。

出演 乗田夏子 鳴海まりか 工藤早希子 青海衣央里 泉谷汐里 藤本一喜 長谷川等 福士賢治 永井浩仁 藤島和弘(劇研マップレス)
作・演出 山田百次
舞台監督 山田百次
照明 中村昭一郎
舞台美術 ・音響 山田百次
宣伝美術 弘前劇場、Free Tempo!
制作 弘前劇場

 弘前劇場の俳優、山田百次の初の作・演出作品を劇団から送っていただいた記録用DVDで観劇。確かに劇中には現代口語地域語(方言)が多用されていて、しかも群像会話劇ではあり、この集団(弘前劇場)が永年にわたって培ってきたノウハウが活用された舞台ではあるが、長谷川孝治とも以前いた畑沢聖悟とも異なるテイスト。本人は出演していないが、それでも俳優、山田百次が舞台上で醸し出すような匂いを全編にわたって感じることができたことはデビュー作としては相当のものだと思った。
 「ノウハウが活用された」と書いたが、この舞台が面白いのは冒頭近くの横一列にならんだ農作業服姿の女たちがまるで速射砲のようなスピードでそれこそ喧しいとしかいいようのないような会話を交わすところである。この場面などは会話の速度が速くて、しかもほとんどが相当に濃い訛りの入った言葉で発せられるために私のような弘前エリアの言葉になじみの薄い人間にとってはほとんど外国語の舞台を見ているように意味が全然汲み取れない。もっとも、最初はほとんど聞き取れなくて、環境音やただのノイズに聞こえるのがしばらく聞いているとしだいに耳が慣れてきて、しだいにそれぞれの会話の中身が分かってくる。速射砲のような会話の交錯、地域語を多用する会話のいずれも長谷川が得意とする演出であるが、今回の山田の舞台が面白いのはこうした方法論の程度をより大胆に推し進めて、その形式が独り歩きするかのようにデフォルメし極大化させたことだ。