ミステリー音楽劇「嗚呼、私の探偵は! Sweetヴァージョン」@神戸アートビレッジセンター

ミステリー音楽劇「嗚呼、私の探偵は! Sweetヴァージョン」神戸アートビレッジセンター )を観劇。 

 脚本:北村想 演出:岩崎正裕[劇団太陽族] 作曲:右近健一[劇団☆新感線]
 振付:岡登志子[アンサンブル ゾネ] 振付助手:岡本早未[アンサンブル ゾネ]

 歌唱指導:真鍋みよ子 演出部:橋本匡[尼崎ロマンポルノ]、稲上寛幸、井上洋美
 舞台監督:永易健介 舞台美術:西本卓也[GiantGrammy]
 照明:池田哲朗(PAC West. Inc,) 音響:金子進一(T&Crew)
 衣装・メイク・ヘアメイク:iroNic ediHt DESIGN ORCHESTRA
 写真・記録映像:堀川高志(kutowans studio) 宣伝美術:東學(188)
 助成:財団法人地域創造芸術文化振興基金 主催:神戸アートビレッジセンター
 指定管理者 大阪ガスビジネスクリエイト株式会社
 ポストパフォーマンストーク 北村想(18m)、右近健一(19m)×岩崎正裕

 出演:竹内真理子[GRAVITY VANISHED] 松井結起子 本條マキ[France_pan] 山本香織[カンセイの法則] 清水かおり[TAKE IT EASY!] 高倉美穂 天羽千夜子[ストロベリーソングオーケストラ] いくたみゆき 綾木由香 曽奈千春[日本放映プロ] 中島真央 嶋田綾子 山本祐子[劇団てん] 黒木夏海 全めいな 稲上寛幸 早川丈二[Mouse Piece-ree]
少年少女探偵団(子役)
 尾園笑理 尾園智星 杉田光澪 谷沢周子 東山音々 向山愛里 ※16日は出演いたしません。 山内海宇(STADIUM)
ダンサー 
 今田直樹 上松泰明[Flying Circus] 中根千枝 安政ゆ[ヴァンカラバッカ]

北村想の脚本でミステリー音楽劇というので、期待はあったのだが、ミステリと音楽劇ってどう考えてもあまり相性がいいとはいえないのではないかとも思っていたら、結局その危惧は残念ながら見事に的中してしまった。北村想ははせひろいちなどと並んで日本では珍しい本当のミステリ劇が書ける人だし、ミステリが好きで造詣も深いことは「新青年」がモデルと思われる出版社を舞台にしたこの芝居からも十分にうかがい知ることができるし、名前は本当と少し変えてあるけれど、一目で江戸川乱歩横溝正史久生十蘭小栗虫太郎……といった往年の探偵小説作家が大勢登場するこの舞台はミステリ小説のファンにとってもひさびさに懐かしい名前を耳にして嬉しくなってしまうという楽屋落ち的な楽しさはあるのだけれど、実際には戯曲自体には謎解き的な興味はあまりなくて、起こった犯罪などの伏線が回収されることもあまりないので、正直言って物足りない。はせひろいちの「死立探偵」は単に探偵が出てきたというだけでなく、ミステリとしての謎解きの構造もちゃんと持っていたからミステリ劇といっていいが、これはちょっとミステリ劇とは言い難かったのが残念であった。
 神戸アートビレッジセンターのプロデュース公演には日本を代表するマイム劇の創作者である小野寺修二、いいむろなおきの東西対決を企画した公演などこれまでもいいものが多くて、どうしても期待してしまうのだが、厳しい言い方になるが今回は全体として消化不良というか、ミスマッチ感が強く、共同作業に参加した作り手たちは脚本の北村想、演出の岩崎正裕、振付の岡登志子といずれも才能のある作家なのだが、この組み合わせ、そしてミステリー音楽劇、そしてこのキャスティングでそれぞれのよさを本当に発揮できたのかが疑問。特にここのところはきつい言い方になってしまうのだが、この枠組みで岡登志子を起用したのは彼女に対して不幸だったとしか思えない出来事で、これっぽっちもらしさは発揮できていなかったのは確かだ。まあ、キャストは踊れないし、この脚本、あの音楽*1じゃ彼女じゃなくてもいいだろうと思ってしまった。もっとも、この公演はダブルキャストで私の見たのは女優中心のキャストによるもの。男優バージョンは見てないから、そちらの方がどうなっていたのかは不明なのだが、音楽劇としてもこういうのを見てしまうと劇団☆新感線がいかに上手なのかが逆に分かってくる。若いキャストが下手なのは仕方ないにしてもそれを感じさせた時点で演出家の負けなのだが……。役者はけっしてうまくなくても、この後で見た上海太郎にはそういうことは感じなかったからなあ。

*1:いずれも悪いと言っているのではなくて、合わないということである