演劇計画2008リーディング公演 地点(三浦基)「チェンチ一族」

演劇計画2008+地点「チェンチ一族」(京都芸術センター)を観劇。

テキスト アントナン・アルトー
舞台監督 大鹿展明
翻訳・ドラマトゥルク 宇野邦一
演出助手 村川拓也
出演 安部聡子、石田大、大庭裕介、河野早紀、小林洋平、谷弘恵
照明 藤原康弘
音響 宮田充規
制作 田嶋結菜
制作協力 小倉由佳子

リーディング公演というと安易な企画も多いのだが、この日見た2作品はいずれもなかなかに充実した内容であった。特に地点のよる「チェンチ一族」はそれぞれが見台に台本は置いていて、一応、リーディング公演の体裁を取ってはいても、こういう演出なのだといえば地点の本公演としても通りそう。特に安部聡子のセリフ回しなどはさすがというしかなくて「語りの演劇」として見事な達成を見せた。
 ただ、戯曲の内容については少し肩透かしの感があった。どうも内容が「残酷演劇」の提唱者であるアントナン・アルトーという人に対して私が持っていたイメージとあまり重なり合わないのだ。ローマの貴族であるチェンチ一族の悲劇*1に題材をとった歴史劇であり、近親相姦を扱いローマ教皇批判もしていることから、発表当時の欧州にいてはスキャンダラスな内容だったのかもしれないが、歌舞伎などをよく見ている日本人である私の目には宗教的なタブーや近親相姦などはそれほどなものとは映らないせいもあって、ひどく保守的な形式の作品にしか見えなかったからだ。
 三浦基の演出もテキスト構成において、戯曲「チェンチ一族」だけを上演するということはしないで、アントナン・アルトーのほかの著作を挿入したのは「チェンチ一族」だけでは現代演劇として上演するのは困難ではないかとの判断があったからではないかと思わせた。