Monochrome Circus「掌編ダンス集 Aプログラム」@京都・アトリエ劇研    

Monochrome Circus「掌編ダンス集 Aプログラム」(京都・アトリエ劇研)を観劇。

Aプログラム:「水の家」「蝿の誕生」「きざはし」
Bプログラム:「最後の微笑」「凪」「朱鷺に寄せる哀歌」

料金:各プログラム
前売 一般2,500円(当日2,800円) 学生2,300円(当日2,500円)
*A/Bプログラム通し券 3,500円 予約のみ


振付・演出:坂本公成
出演:モノクロームサーカス(坂本公成森裕子、荻野ちよ、合田有紀、野村香子)、森川弘和、小寺麻子

 Monochrome circusはいまもっとも脂の乗っているカンパニーだといっていい。ここでは12月の小品集「掌編ダンス集」を取り上げたが「羊飼いプロジェクト」で知られる現代美術家の井上信太とのコラボレーション「The Passing 01-03」(アトリエ劇研)*1、「出会い」を作品化するという「旅の道連れ」(滋賀会館)、フランスの振付家、エマニエル・ユンとのコラボレーション「怪物」プロジェクト(京都アトリエ劇研)、ダムタイプの照明家、藤本隆行とのコラボレーション「Refined colours」「Lost」の東京・長野公演(スパイラルホールなど)、小品集の連続上演「水の家」プロジェクト(ロクサドンタ・ブラック)とこの1年間ほどを振りかえっても互いに方向性の違う舞台を次々と上演してきた。新作が1年に1本以下となるようなことも珍しくないコンテンポラリーダンスにおいて、この多産ぶりは驚くべきことだ。
 しかも上記の作品はすべて一過性の企画というだけなく、海外や国内でのツアーや再演をにらんだ、ある程度以上のクオリティーの高さを維持している。活動の全体像が東京ではまだ知られていないこと、さらに昨今の東京のコンテンポラリーダンスとは明らかに作品の傾向が違うことが原因かもしれないが、東京の人気カンパニー、振付家と比較した時に評価が低すぎる。もう少し高い評価をされてしかるべきカンパニーだと思う。
 「掌編ダンス集」ではA、Bの2プログラムで7本の作品を上演しているが中でもテーブルの上で森裕子、森川弘和が踊る「水の家」と合田有紀、野村香子による2つのデュオ「きざはし」「凪」が秀逸。いずれもテーブルの上(「水の家」)、テーブルの上と下(「きざはし」)、男性のダンサーの身体の上から女性ダンサーが一度も床に降りない(「凪」)と縛りのかかったような制限された条件のもとで展開されるのが特徴。以前はMonochrome circusのダンスはコンタクトインプロビゼーションを多用していたのだが、これらの作品群では振付生成のための手段として用いることはあってもその技法がそのまま展開されることはなく、「凪」などのように振付と即興が精密な設計図により組み合わせるなど振付の方法論の実験が試みられているのも興味深かった。ただ、それ以上に特筆すべきはダンサーの充実である。この公演ではここ数年同カンパニーの看板となっていた佐伯有香を故障で欠く陣容となり、そのために佐伯のソロ「怪物」を「凪」と差し替えざるえなかったのだが、合田、野村の成長が著しく、佐伯の不在を感じさせなかった。「きざはし」などは坂本公成森裕子の2人により初演された作品だが、その後、佐伯、合田によるバージョンが「踊りに行くぜ!!」などで上演され、この公演ではそれを野村、合田のデュオにより上演した。ダンサーが入れ替わっても作品が成立するようにカンパニーの財産として受け継がれていく作品がある一方ですでにカンパニーを退団した森川を客演として呼び戻し、何度も同じコンビでの再演を繰り返してきたからこそ生まれてきた絶妙のコンビネーションを見せてくれた。