マレビトの会「声紋都市*1―父への手紙」@アイホール

マレビトの会「声紋都市―父への手紙」アイホール)を観劇。

作・演出 松田正隆
出演 牛尾千聖 ごまのはえ 武田暁 西山真来 枡谷雄一郎 宮本統史 山口春美
美術 池田ともゆき 照明 藤原康弘 音響 宮田充規 荒木優光 映像 遠藤幹大
衣裳 堂本教子 衣裳助手 権田真弓
舞台監督 夏目雅也
演出助手 米谷有理子
制作 森真理子、橋本裕介
協力 魚灯、ニットキャップシアター

 松田正隆の「声紋都市―父への手紙」は故郷、長崎で実際に取材した映像を作品のなかに組み入れながら、実の父でのアンヴィバレントな感情をドキュメンタリーな要素を取り入れながら、作品化した作品である。この物語の核には父が太平洋戦争に兵士として従軍したということへの松田の個人的なこだわりがある。
私にとっては、私の父がかつて日本軍の兵士であったことは大きな問題であった。そして、そのことは、日本の「父なる者」のことを考えることにもかかわる問題でもある。さらに、今後、マレビトの会の作品主題が国民国家から越え出ようとする際に、そのことを引き止める重い課題でもあるように思えた。
 父が兵士であったこと。その父が、戦争を生きのびた後、そのことをどのように記憶したのか。その父と、その父にとっての「父なる者=天皇」との関係が敗戦後も、ある意味本質的には何も変わらず維持されたのは何故なのだろう。
 たとえ、その父を拒絶したとしても、父は姿をかえて私の前に再来するのではないか。国家、国民、法、政治、帝国、植民地、そして言語における母国語、母語の問題を対象とするならば、すでにそのことを考える場に、「父」的な権力はもたらされてあるのではないだろうか。(中略)私はこの作品の創作を、故郷にいる父へカメラを向けることから始めた。私は、父のことを誰よりも愛している。だからこそ、父の従軍を許すことはできないし、同時に私自身の父に対する許しを差し出す在り処のことを考えると大きくぶれまくってしまう。しかし、そのことも含めて、この作品に描こうと思ったのだ。このような個人的な主題がどれほどの意味があるかはわからないのだが、この過程を経ないと次の重大な問題(敢えて言葉にするのならば、日本の旧植民地の犠牲者からの断罪と許しのこと)を取り扱えないような気がしてならなかった。

 作品を製作するための動機というのはその作家、作家で異なるであろうし、一般化することにどれほどの意味があるのかは(To be continued)