近畿大学新歓舞踊公演「ビュッフェ」@近畿大学Eキャンパス内アート館

近畿大学新歓舞踊公演「ビュッフェ」 近畿大学Eキャンパス内アート館)を観劇。

構成・振付 平山ゆず子 福岡準 馬場陽子 山田裕貴
出演 赤坂茉里菜 飯田悠佳 池田聡石田千晴 岩田奈々
大西慶彦 加藤紫 川崎有紗 河田宏太 北和輝
絹本美幸 中尾有希 馬場陽子 平山ゆず子 福岡準
藤澤晃平 松島静香 松本鈴香 松本真帆 松山弓珂
宮城千尋 宮澤健太郎 山田裕貴

 近畿大学の学生らによる学内制作作品。実は近畿大学出身者の作品は数多く見ていても、これまで京都の果てにある京都造形芸術大学には足を運んだことはあっても、自宅から近鉄電車で十数分の距離にある近畿大学には京都と異なり、土地勘がなかったためあまり出かけたことがなかった。それが、今年の春から旧知のダンサー・振付家、ヤザキタケシが講師となり、後期には坂本公成(Monochrome circus)が同じく講師を務めるというので、以前にも増して親近感を抱くようになり、そして、いざ出かけてみるとこれが意外と近かったのだ。そして、学生の作品であるということで危ぐもあったのだが、内容も予想以上に面白かったのだ。

「開始0コンマ1ビョウ」
創作:馬場陽子

ダンサー 赤坂茉理奈 飯田悠佳 池田聡美 大西慶彦 北和輝
絹本美幸 中尾有希 馬場陽子 平山ゆず子 福岡準 藤澤晃平
松島静香 松本鈴香 宮城千尋 宮澤健太郎 山田裕貴

「でぃすユニティー」
創作:山田裕貴

ダンサー 池田聡美 岩田奈々 加藤紫 川崎有紗
北和輝 藤澤晃平 松本鈴香 山田裕貴

「ワカメちゃんのかぼちゃパンツ(女体盛りMIX '09)」
創作:平山ゆず子

ダンサー 赤坂茉理奈 飯田悠佳 絹本美幸 平山ゆず子 宮城千尋
「ungrounded」
創作:馬場陽子
ダンサー 馬場陽子
「nakami+α」

創作:福岡準

ダンサー 石田千晴 河田宏太 福岡準
松本鈴香 松山弓珂 宮澤健太郎

 学生らの作品を見て最初に思ったのは近畿大学の学生が作る作品の傾向もずいぶん変わったなということだ。近畿大学といえば以前は神沢和夫氏*1が教授として舞踊の指導をしていて、弟子筋にあたるダンサーも関西のコンテンポラリーダンスに数多く輩出しているのだが、その舞踊メソッドはかなり特異なもので、しかもその動きを基礎から徹底的に叩き込むような指導法をしたためか、そのダンサーの動きを短い時間に見ただけで、「あ、これは神沢門下だな」というのがはっきりと分かるほどであった。
 現在、指導の中心にいるのは元々、神沢門下の流れもくむ碓井節子氏ではあるが、彼女の場合は英国ラバンセンターの出身でもあり、その指導方法もずいぶん異なるのかもしれない。この公演は碓井振付作品の発表の場ではなく、学生たちの自由な創作の発表の場となっていたこともあり、モダンダンス色を強く感じた数年前の卒業してすぐのこの大学のOBらの発表作品では運動性に特化したような真面目な優等生的な作品が多かったのが、一転、なんでもありの今風のコンテンポラリーダンスの流れを反映したようなものとなっていた。
 なかでも面白かったのは「ワカメちゃんのかぼちゃパンツ(女体盛りMIX '09)」という作品。おかっぱ頭の少女が5人登場して、ちゃぶ台を取り囲んで座り、なにか食べものの取り合いをしているのような場面から始まるユニークな作品で、おおいに楽しませてもらった。「ワカメちゃん」というのは漫画「サザエさん」に出てくるワカメちゃんのことだと思うのだが、その通りに「少女」と書いたけれど、これは「幼女」ないし「童女」に近い人物造形で、それが5人登場して舞台狭しとちょこまかと動きまわる。それぞれのソロのダンスシーンにより動きをじっくりと見せていくのではなく、基本的にユニゾンないし対位法的な動きのシークエンスと演劇的な身振りが多用されて、演劇のようなはっきりした筋立てはないけれど、ちゃぶ台を引っ張りあって取り合う場面などは「水と油」のことも連想させたりしたから、ダンスというよりはマイム的な要素が強いのかもしれない。
ただ、いわゆるマイムの技術はまったく持っていないし、ダンスのテクニックもほとんどないといっていい。
 「それでいえ面白く感じるのはなぜなのか」と不審に思い、「ひょっとしたら」と思い、終演後に振付をした平山ゆず子に問いただしてみたら、予想は的中。彼女がこれまでやってきたのは主として演劇*2で、ダンスは「ダンスも習ってみた」という程度。そして、好きな劇団は「少年王者舘」なのであった。
 ただ、彼女の「ダンス」が面白いのは私が聞いてみたように少女たちの様相とか王者王者舘テイストを彷彿とさせるところはないではないけれど、具体的な「動き」の部分では実際の王者舘ダンス(例えば夕沈や石丸だいこが振り付けたもの)とは全然似ていないことで、そこの一番重要な部分において、彼女のオリジナリティーがあると思われたことだった。通常のコンテンポラリーダンスのコンペに出してもおそらく難しいけれど、ガーディアンガーデン演劇フェスがもし今でもあれば応募すれば面白かったかもと思った。


http://www.kindai-theater.net/2009/buffet/index.html

*1:http://www.47news.jp/CN/200309/CN2003090901000462.html

*2:ネットで検索してみると、役者として鈴江俊郎作・演出の舞台に出演しているたようだ