「現代日本演劇・ダンスの系譜 チェルフィッチュという現在」 Web版講義録連載その2

 セミネールの第一回講義「チェルフィッチュという現在」の講義録の掲載を開始した。今度は実際の講義録を基にしたもので、長尺になりそうなので連載にすることにした。ずっと放置されてきた「その2」を掲載しました。チェルフィッチュWeb版講義録はこれにて完結です。
http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/00000226 その1
http://d.hatena.ne.jp/simokitazawa/00000229 その2
 好きな劇団(劇作家)を順番に並べただけのようにとらえかねないのは承知していますが、実はセミネールでこれまで取り上げてきた演劇、コンテンポラリーダンスともにあるひとつの大きな流れを示してきたつもりでした。演劇の方は2000年代における日本現代演劇の最前線であるチェルフィッチュからスタート。水脈をさかのぼるかのようにその源流である「関係性の演劇」*1の代表である青年団平田オリザ)を取り上げ、さらにもうひとりの同様に重要な劇団として弘前劇場長谷川孝治)も取り上げました。実はこの周辺にはやはり「関係性の演劇」の系譜で重要な劇団としてジャブジャブサーキット(はせひろいち)、桃唄309(長谷基弘)、時空劇場(松田正隆)があるのですが、とりあえずこれは後回しにして、今度は「関係性の演劇」の影響の下に2000年代に登場した五反田団(前田司郎)、ポツドール三浦大輔)を紹介しました。こちらにも重要な劇団としてポかリン記憶舎(明神慈)、トリのマーク(山中正哉)などがありますが、こちらも今後順次取り上げていきたいと思っています。以上が「関係性の演劇」→「存在の演劇」というひとつ目の大きな流れです。
 実は90年代以降の日本現代演劇にはもうひとつの大きな流れがあって、それは第1回のチェルフィッチュの冒頭で取り上げた表*2にやはり登場している「身体性の演劇」です。つまり、もっと分かりやすい言い方をすれば身体表現系の演劇ですが、その代表的なものがク・ナウカ(宮城聰)と山の手事情社(安田雅弘)といった「語りの演劇」系の劇団で、関西では地点(三浦基)や遊劇体(キタモトマサヤ)がこの範疇に入ります。ちょっと分けて考える必要があるかもしれませんが、維新派少年王者舘クロムモリブデンデス電所もこちらに入るかもしれません。また、前述の表では惑星ピスタチオ西田シャトナー)もここに入っており、それが最大の特徴でした。
 実はセミナールは第一期として12回で一度完結と考えているのですが、第一期の最後に上海太郎舞踏公司(上海太郎)を持ってこようと考えたのはこれが「関係性の演劇」「身体性の演劇」両方の要素を色濃くもってそれをつなぐような存在だからです。さらに言えば最初に取り上げたチェルフィッチュにもスタイルもアプローチもまったく異なるものの、上海太郎舞踏公司と同様に「関係性の演劇」「身体性の演劇」をつなぐリンクのようなところに位置していると考えられます。なお、上海太郎舞踏公司のことをダンスだと考えている人がいるようですが、これはあくまで演劇ですし、なぜそうなのかということも今後セミネールのレクチャーのなかで明らかにしていきたいと思います。
 ダンスについてはきょうは時間がなくなってしまったのでまたの機会に明らかにしたいと思います。