ジャブジャブサーキット「河童橋の魔女」@伊丹アイホール

ジャブジャブサーキット「河童橋の魔女」 伊丹アイホール)を観劇。

作・演出:はせひろいち
照明:福田恒子  音響:松野弘
舞台美術:JJC工房  大道具:小山広明  舞台監督:岡浩之
宣伝美術:奥村良文(ワークス)  制作:咲田とばこ、中杉真弓

出演:小山広明(ホテル支配人・遠野光司)、岩木淳子(ホテル従業員・野間紀子)、栗木己義(長期滞在の客・三枝満明)、荘加真美(元編集者・波多野桜子)、なかさこあきこ(客・木之元京香)、春田琴美[劇団Harp Country](娘・木之元瑠奈)、中杉真弓(3年前の利用客・市村高子)、岡浩之(高子の友人・間宮直隆)、はしぐちしん[コンブリ団](森の住人・湯本先生)、くまのてつこ(同・太郎)、咲田とばこ(同・明日香)

 ジャブジャブサーキット(はせひろいち)は青年団平田オリザ)、弘前劇場長谷川孝治)、桃唄309(長谷基弘)らと並んで、90年代後半の「関係性の演劇」を代表する劇団(劇作家)である。その作風には大きく2つの特徴があり、それが「関係性の演劇」の作家たちのなかではせの存在を目立たせている。そのひとつはその作品の多くが広義のミステリ劇(謎解きの構造を持つ物語)であること。もうひとつがはせ作品のなかで積み重ねられる小さな現実(リアリティー)の集積がより大きな幻想(虚構)が舞台上で顕現するための手段となっていることである。
 演劇的なリアルがそのもの自体が目的というわけではなく、日常と地続きのようなところに幻想を顕現させるための担保となっているという構造は実は平田ら同世代の作家よりも、五反田団(前田司郎)、ポかリン記憶舎(明神慈)ら私が「存在の演劇」と位置づけているポスト「関係性の演劇」の作家たちとの間により強い類縁性を感じさせるもので、その意味では世代の違う両者をつなぐような位置に存在しているといえるかもしれない。
 リアルな日常描写の狭間から幻想が一瞬立ち現れるというような構造の芝居ははせが幻想三部作と呼んだ「図書館奇譚」「まんどらごら異聞」「冬虫夏草夜話」ですでにほぼ確立されていたが、その後に上演された「非常怪談」「高野の七福神」といった作品では作品のなかに漂う幻想との距離感がより一層近しいものとなり、いわばひとつの作品世界のなかに日常世界と幻想世界が二重写しのように描かれるという手法が取られた。