千日前青空ダンス倶楽部「アカイノノハナ」@精華小劇場

構成・演出・振付 : 紅玉 
出演 Dancer : 稲吉、あやめ 、小つる、ぼたん、日向、かがり

舞台美術: 川井ミカコ

sound:ORGAN

題字:紫舟

衣装製作:山本容子

スタッフ
舞台監督:大田和司
照明:吉本有輝子
音響:秘魔神

宣伝美術:升田学(アートーン)

 千日前青空ダンス倶楽部は日本舞踏界の「モーニング娘。」だと最近あるところで口にしたことがある。もちろん、半分冗談なのだが、本気の部分もあって、その心はというと、どちらも「卒業」するのである。この公演の前に行った米国へのツアーでこの集団の創設メンバーで中心的な役割を果たしてきた福岡まな実が卒業(退団)。これで最初にこのグループが設立された時にいたメンバー、文、yum、福岡まな実、中田そこかのうち残ったのは稲吉(文)ひとりだけになった。もちろん、ダンスカンパニーの構成メンバーというのは創設からのメンバーがほとんど変わらずにいるという方が珍しく、珍しいキノコ舞踊団のようにそれである方がむしろ例外的ともいえるので、ことさら千日前のことをそういう面で強調することは変だと思うのだけれど、ここでそういうことをあえて強調したのはこのカンパニーが元々アートシアターdB(当時はTORIIHALLのダンス企画DANCEBOX)のボランティアスタッフを集めて、プロデューサーの大谷燠が紅玉として振付をするという形で設立され、その後もメンバーのだれかが抜けるたびに新たなメンバーを補充するという形で運営されてきたからだ。
北米ツアー

 そのため、退団したメンバーもこれまではよくある決裂という形ではなくきたまりが自分のカンパニーKIKIKIKIKIKIの活動に専念するためというほか、そよかは美術作家としての活動などそれぞれがやりたいことを見つけて巣立つという印象が強かったのだ。そのため、これまでの退団でも残りのメンバーがその穴を埋めるのに苦労してきたという歴史があるのだが、正直言って今回は新人(研修生)としてほとんどダンス経験のない新メンバー2人が加わっただけのアンサンブルにおいては福岡まな実の穴というのを大きく感じさせたことは否めなかった。
 前回公演の「桜咲く憂鬱」はやや実験的な側面が強かったこともあり、2006年の「水の底」がこのカンパニーの成熟としてひとつの頂点だった。それと比べると経験を積んだオリジナルメンバーが抜けただけやや完成度においてはまだ届かないと思う。だが、特筆すべきなのは海外ツアーを重ねたことなどのなかで、残されたメンバーが大きな成長をとげたと思われたことである。あやめ(森本あやこ)は元々背も結構高く、すらっとした肢体で身体的な条件にも恵まれていたこともあるが、福岡が抜けた穴を埋め、このカンパニーでは中心的な役割を果たしている貫禄を感じさせた。
 さらにその成長ぶりに驚かされたのは、小つる(佐藤ゆか里)。ほとんど経験のない状態でこのカンパニーに参加したこともあって、これまでほとんど新人のような目で彼女を見てきたところがあったのだけれど、入団したのが2006年7月なので、もう3年は経過していることになる。この時期の間、アートシアターdBがあまり活動していなかったこともあるし、活動が海外公演も含め、関西以外の場所が中心であったこともあり、気づくのが遅れたが、4人のアンサンブルで先輩と交っても見劣りはいっさいしないし、今回新人が加わったことで一層それが際立ち、この時期の3年間というのは大きな意味を持つものだと改めて感じた。